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9月
143.強くなります
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「必ず迎えにくるから…それまでに、強くなっててね?
今度こそ僕を守ってよ……
こんなことになって、本当にごめんね…愛してるよ」
そう言い残して、アキラさんはおじいちゃんに連れられて行ってしまった。
病室にはどうしようもないくらい泣き崩れる僕が残されて、そこからどうやって自室まで帰ってこれたか覚えていない。
たぶんカズマさんが転移魔法で送ってくれたのかな?
学校は突然、学園長が退任したことで大騒ぎになって三日間の休校になった。
僕はもう…ひたすらその間、部屋で泣きまくっていた。
泣いて泣いて泣いて、気づいたら寝てて、泣いて泣いて泣いて、気づいたら寝てて…
っという感じの三日目の夜に
ぐきゅうぅぅ~~
お腹が空いた。
たぶん酷い顔なんだと思う…
廊下ですれ違った人達がササッと避けていくし
それでもお腹は空くから、食堂に向かうと
「あんた……何なのよ、その酷い顔は!男前が台無しよ!!
ちょっとかず子さん、あんたのお気に入りのワンちゃんが大変な顔してるわよ
何があったのよ、ほらもう食堂はそろそろ終わりの時間だから……こっち来て!話してきなさいな!!」
あぁ…もうそんな時間だったかな?
外は暗くなってたけど、時間感覚がなくてわからなかった
食堂はもうテーブルが拭かれてて、終わる準備が始まっている。
僕は厨房の隅に通されて、残り物と山盛りご飯を出してもらえた。
「愛し合えたんです。
僕たち、絶対に愛し合ってたのに……
なのにあの人が、僕のために僕を助けるために犯罪を犯しちゃって……
僕は牙狼だから…警察に行くって…お別れだって
僕っ待ってるからって約束して……ずずっ…行ッちゃった。
あの人は行っちゃったんだよぅ……」
僕の話をおばちゃん達は静かに聞いてくれて、ご飯もいっぱい食べさせてくれて、いつもの豚汁も出してくれて
もう泣きすぎて、出ないと思ってた涙はまだまだ出てきて
また僕の顔をぐちゃぐちゃにしてくから、おばちゃんがBOXティッシュまで持ってきてくれた。
「それは、壮絶な恋愛をしたんだねぅ…
それにしても、あんたはえらく深く愛されたんだね?
あんたを守るためなら、犯罪を犯してもいいなんて……いい女じゃないかい!なかなかいないよ?
人生を賭けて愛してくれたんじゃないか……」
「本当にね、あの時見た感じでは線が細くて弱々しかったのに
男のためにそんなことするなんて、情に厚い女だったんだね
あんた……これからは男を見せるところだよ!
あんたは今、守られて泣き崩れて最高に情けない男だからね?
しっかりと巻き返しな!」
おばちゃんに背中をバンッ!っと叩かれる。
すごい力でかなり痛い
「僕、強くなるって約束したんです。強くなって待ってるって……あの人のことずっと待ってるって……」
ガフガフっと山盛りご飯と残り物おかずを空にしていく
そうだ、強くなるんだ…アキラさんを今度こそ守れるように
「そうよ、その活きよ!
待っててあげなさい……絶対に裏切って他の女に行くっなんてしたら駄目よ!
そんなことしたら、そこのフライパンで頭かち割ってやるからね?
その彼女さんが可哀想すぎるわ!」
「本当よ…私はその耳切り落としてダシ取ってやるわよ!
そこまで体を張られたんだからね?
しっかりといい男になって、待っててあげなさい!
まぁ…でも気をつけなさいよ!まめに手紙くらいは書きなさいよ!女心は秋の空よ…
変わりやすいから気をつけなさいよ!」
ふぅぅ……不安にしないでいただきたいよぅ
でもやっぱり、今度は僕が男を見せる番なんだ!
今度こそ僕を守ってよ……
こんなことになって、本当にごめんね…愛してるよ」
そう言い残して、アキラさんはおじいちゃんに連れられて行ってしまった。
病室にはどうしようもないくらい泣き崩れる僕が残されて、そこからどうやって自室まで帰ってこれたか覚えていない。
たぶんカズマさんが転移魔法で送ってくれたのかな?
学校は突然、学園長が退任したことで大騒ぎになって三日間の休校になった。
僕はもう…ひたすらその間、部屋で泣きまくっていた。
泣いて泣いて泣いて、気づいたら寝てて、泣いて泣いて泣いて、気づいたら寝てて…
っという感じの三日目の夜に
ぐきゅうぅぅ~~
お腹が空いた。
たぶん酷い顔なんだと思う…
廊下ですれ違った人達がササッと避けていくし
それでもお腹は空くから、食堂に向かうと
「あんた……何なのよ、その酷い顔は!男前が台無しよ!!
ちょっとかず子さん、あんたのお気に入りのワンちゃんが大変な顔してるわよ
何があったのよ、ほらもう食堂はそろそろ終わりの時間だから……こっち来て!話してきなさいな!!」
あぁ…もうそんな時間だったかな?
外は暗くなってたけど、時間感覚がなくてわからなかった
食堂はもうテーブルが拭かれてて、終わる準備が始まっている。
僕は厨房の隅に通されて、残り物と山盛りご飯を出してもらえた。
「愛し合えたんです。
僕たち、絶対に愛し合ってたのに……
なのにあの人が、僕のために僕を助けるために犯罪を犯しちゃって……
僕は牙狼だから…警察に行くって…お別れだって
僕っ待ってるからって約束して……ずずっ…行ッちゃった。
あの人は行っちゃったんだよぅ……」
僕の話をおばちゃん達は静かに聞いてくれて、ご飯もいっぱい食べさせてくれて、いつもの豚汁も出してくれて
もう泣きすぎて、出ないと思ってた涙はまだまだ出てきて
また僕の顔をぐちゃぐちゃにしてくから、おばちゃんがBOXティッシュまで持ってきてくれた。
「それは、壮絶な恋愛をしたんだねぅ…
それにしても、あんたはえらく深く愛されたんだね?
あんたを守るためなら、犯罪を犯してもいいなんて……いい女じゃないかい!なかなかいないよ?
人生を賭けて愛してくれたんじゃないか……」
「本当にね、あの時見た感じでは線が細くて弱々しかったのに
男のためにそんなことするなんて、情に厚い女だったんだね
あんた……これからは男を見せるところだよ!
あんたは今、守られて泣き崩れて最高に情けない男だからね?
しっかりと巻き返しな!」
おばちゃんに背中をバンッ!っと叩かれる。
すごい力でかなり痛い
「僕、強くなるって約束したんです。強くなって待ってるって……あの人のことずっと待ってるって……」
ガフガフっと山盛りご飯と残り物おかずを空にしていく
そうだ、強くなるんだ…アキラさんを今度こそ守れるように
「そうよ、その活きよ!
待っててあげなさい……絶対に裏切って他の女に行くっなんてしたら駄目よ!
そんなことしたら、そこのフライパンで頭かち割ってやるからね?
その彼女さんが可哀想すぎるわ!」
「本当よ…私はその耳切り落としてダシ取ってやるわよ!
そこまで体を張られたんだからね?
しっかりといい男になって、待っててあげなさい!
まぁ…でも気をつけなさいよ!まめに手紙くらいは書きなさいよ!女心は秋の空よ…
変わりやすいから気をつけなさいよ!」
ふぅぅ……不安にしないでいただきたいよぅ
でもやっぱり、今度は僕が男を見せる番なんだ!
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