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9月

142.そして別れの日

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病室で二人っきりにしてもらえた。
二時間後にはお別れなの?
これは現実なの?本当のことなの?


「アキラさん、アキラさん
ふわあぁぁ…嫌だぁ、離れたくない!側にいたい!!ふわあぁぁ」


もう泣き言しか口から出てこなくて、もっと伝えれることがあるはずなのに…


「ごめんね、ジョン君……ごめんなさい、これ以外は考えられなかった。
あのときジョン君を失うかもって考えたときに…僕はどうしても我慢できなかったんだ」


アキラさんは悪くない、必死になって僕を助けようとしてくれたんだ
僕が諦めたから?僕が牙狼だから?僕が…僕が……弱いから


いくら考えても離れる未来しか見えなくて、それでもこの腕の中のアキラさんがいなくなるのが恐ろしくて


「ジョン君……、もし許してくれるなら……待っててくれる?
僕、迎えにくるから、ちゃんと罪を償ったら帰ってくるから
僕のことまた、愛してくれる?」


アキラさんの言葉に体が震える
アキラさんはもう前を向いてる…僕も向かないといけないのに
離れるのが恐ろしい、手を放すのが恐ろしい
このままアキラさんが消えてしまいそうで……


「いやだぁ……離れたくない、
ずっとずっとずっと………
うわあぁぁぁ、いやだよぅ」


苦しい、嫌だ、離れていく、僕の番が離れていく……
耐えられない!!
でも…でも…でも……


「迎えにくるから、ごめんね…
本当にごめん、必ず来るから……」


アキラさんもポロポロ泣いていて、細い体が可哀想なほど震えていて
アキラさんを強く抱きしめてこのまま拐って逃げ出してしまいたいけど
逃げ出しても、僕にはアキラさんを守る力なんてなくて……


「強っく、なるから……僕っ今度こそっ強くなって、待ってるから
ふわあぁぁ……ずっと、ずっと待ってるからぁぁ」


鼻水も涙もくしゃくしゃになって、やっと絞り出した返事に
アキラさんは僕を抱きしめ返してくれる。


「迎えにくるよ、必ず来るから…
それまでに強くなってて、そして僕を守って?
もう絶対に離れないように…今度こそ、僕を全てから守ってね?」


きつく抱き合ってキスをして、アキラさんのキスは相変わらず甘いのに、アキラさんの匂いはどこまでも僕を惹きつけるのに
僕達は離れないといけなくて


「好きだよジョン君…大好き
待っててね……約束だよ?
僕のこと待っててね…」

「うん…待ってる……ずっとずっと、待っでるぅぅ……
アキラさんのこと、ずっとずっと待ってるから……ずっと、好きだから
ずっと、愛してるからぁぁ」


もうずっと泣きながら抱き合ってた、1分でも1秒でもアキラさんを長く感じてたかった。
アキラの感触も匂いも声もキスの味も全部、全部…
忘れないように、記憶に少しでも残るように

それでも無情に時間は過ぎていって……



ガチャリ

   
僕達を引き裂く音が部屋に響いた
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