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9月

128.お千代さん  (sideカズマ)

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三日経ってもアキラの消息はわからなくて、あの男もオロオロっと引っ切り無しに色んな場所に電話をして謝っている声が部屋からする。
俺はそんな姿を尻目に、学園長付秘書室に我が物顔で入り込んでいる。



「失礼します。学園長にお目通り願いたいんですが…
あぁ!カズマ、珍しいね?こんなところにいるなんて…」


お千代さんが黒のスーツに見を包んで、後ろに三人のかなりカッチリとしたスーツと髪型の人達を連れて、秘書室に入ってきた。
俺はアキラの消息を調べるため、片っ端から学園関係者に電話をかけまくっていたが…
驚いて言葉が詰まる


「あっお千代さん!あの……、アキラは知らないよね?
実は……」


事の顛末を話すと、驚いた顔で固まって苦しそうに話しだした。


「おとといアキラから婚約者向けに小包が届いたんだよ…
自分のせいで酷い目にあわせてしまって申し訳ないってすごく丁寧な手紙と、すごくいい匂いのアロマが入っていてね
少しでもあなたの体調が良くなることを祈っています。って添えられてた。
たぶん消息を立つ前に出したんだと思う。
悪いけど、俺が知ってるのはこれだけだよ

学園長にお目通り願いたい。
カズマ、悪いけど俺はお前の味方にはなれないよ!これから学園長に抗議文と訴訟する旨を伝えに行くからね」

「ははっ、それはありがたいね!
残念ながら俺は学園長にはついていないよ?
っというか、俺はずっとアキラに付いていたんだよ?知らなかった?
俺はずっとアキラの思うままに従う、召使いみたいな者さ
俺も一緒に見させてくれないかな?敵の敵は味方だろ?」


お千代さんは驚いたように目を見開くと、嬉しさを抑えられないとばかりに口元を緩ませた。


「ははっ、よかった!カズマにはずっと心苦しかったんだよ……
お前の家を潰してしまうかも知れないだろ?本当によかったよ
存分に見てくれよ、俺の婚約者に手を出したらことを後悔させてやるところをね?」









「………何だこれは?
どういうことだ!だって君は…、あの俺が魔法をかけた人物は君の母親じゃなかったのか?」


うわっ!この期に及んで自分の父親ながら情けない、更に敵の気持ち苛立たせるつもりなのかな?


「さすがに、失礼ですね!彼女は僕の婚約者で番ですよ!
年は離れていますが……
彼女を侮辱するのは、いい加減にしていただけますか?
そちらの抗議文は読んでいただけましたか?彼女のお祖父様もかなりのご立腹ですよ」


そうお千代さん自身は本当に一般家庭で、しかも母子家庭で育った苦労人だ
しかし血筋は某有名病院の院長の孫にあたる。


院長の末のバカ息子が看護婦の母親を孕ませて、そのまま隠れて産ませたのがお千代さんだ。そのバカ息子は周りに結婚を迫られると、他の女と逃げたらしい

しかし、それを知った院長が母親に手を差し伸べ援助と交流を深めるうちに……まさかのお千代さんと病院を継ぐ予定だった院長の長男の娘ができてしまったらしい。


それを聞いたときは、やるなぁお千代さんって思ったけど。
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