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9月
121.消えていく
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アキラさんの病室には近づかない方がいいっとカズマさんに言われたのに…
千代丸さんやダークさんの話もしたいし、何より一目あいたくて
カズマさんと一緒にアキラさんの病室に行ったのがいけなかったんだ
「そっか、お千代さんの番に手を出すなんて
信じられないな…、あの人は何をやってるんだ……
ダークも実家に帰ったんだね?
ジョン君、確実に次は君だよ!
おじいちゃんに連絡をとって保護してもらって
あの人たちが何をするかわからないから
いいっ?帰ったらすぐに準備をしてね、カズマもお願いね?」
アキラさんの切羽詰まった様子に、カズマさんと頷き合って
二人で寮に戻って準備をして、部屋を出ると……
「待ちなさい!君がジョンだな……
逃亡するつもりだったか?
君が頭がよく危険な牙狼だと通報があった、拘束させてもらうよ」
寮の前で二人の背広を着た人が待っていた。あぁ……間に合わなかった
「そんな…、ジョン君は危険なんかじゃないですよ!
誰一人として傷つけていませんし、誰がそんな!!」
「通報があったのは事実ですので、真偽は追々調べて行きますから……」
「ふざけないでください!通報があったからって、すぐに拘束なんて……」
カズマさんが抗議をしてくれている声がする。
カズマさん………それが牙狼ですよ。
牙狼に人権なんてないし、牙狼は魔獣だから
通報があればすぐに拘束をされるし、裁判もなしに……たぶん……すぐに殺処分だ。
どうする?暴れて……逃げるか?
頭を一瞬過ぎったけど
でも……それをしたら、二度とアキラさんには会えないだろうな
アキラさんに会えないなら、逃げても…生き残っても…死んだのと一緒だと思い直して
「カズマさん!!………アキラさんに、ありがとうございましたって伝えてください
あなたのことが、ずっとずっと好きですって
あなたの幸せを願っていますって伝えてください!」
なんで僕は牙狼なんだろう?
なんで僕はこんなところに連れてこられたんだろう?
でも連れてこられたから、アキラさんに出会えたし、アキラさんにも愛されたし……
悪いことばかりじゃなかったかな?
「ジョン君、何を言ってるんだよ!
君がいなくなったら、アキラは……ジョン君!!」
叫ぶようなカズマさんの声が聞こえる。
自分でも驚くほど、大人しく拘束されることを受け入れた。
たぶん僕は、どこかで覚悟をしていたんだ。
千代丸さんに言われたときから?
違うな……連れて来られたときからずっと…
なのに、この胸を締め付けられる痛みは、目に溜まって落ちる涙は……夢を見ていたからで
アキラさんと一緒に光って見えた未来を、叶うって信じていた夢を見ていたからで……
もう一度アキラさんを抱きしめたいな
もう一度アキラさんにキスしたいな
もう一度名前を呼んてほしかったな
そのまま手械を付けられて、車に乗せられて、外ではカズマさんが怒ってくれている声がして
うん、大丈夫だ……僕は今、幸せだったって思えるから
アキラさんに会えて幸せだったって思えるから
「ジョン君!行っちゃだめだ!!
お願いだよ……君がいないと!ジョン君」
千代丸さんやダークさんの話もしたいし、何より一目あいたくて
カズマさんと一緒にアキラさんの病室に行ったのがいけなかったんだ
「そっか、お千代さんの番に手を出すなんて
信じられないな…、あの人は何をやってるんだ……
ダークも実家に帰ったんだね?
ジョン君、確実に次は君だよ!
おじいちゃんに連絡をとって保護してもらって
あの人たちが何をするかわからないから
いいっ?帰ったらすぐに準備をしてね、カズマもお願いね?」
アキラさんの切羽詰まった様子に、カズマさんと頷き合って
二人で寮に戻って準備をして、部屋を出ると……
「待ちなさい!君がジョンだな……
逃亡するつもりだったか?
君が頭がよく危険な牙狼だと通報があった、拘束させてもらうよ」
寮の前で二人の背広を着た人が待っていた。あぁ……間に合わなかった
「そんな…、ジョン君は危険なんかじゃないですよ!
誰一人として傷つけていませんし、誰がそんな!!」
「通報があったのは事実ですので、真偽は追々調べて行きますから……」
「ふざけないでください!通報があったからって、すぐに拘束なんて……」
カズマさんが抗議をしてくれている声がする。
カズマさん………それが牙狼ですよ。
牙狼に人権なんてないし、牙狼は魔獣だから
通報があればすぐに拘束をされるし、裁判もなしに……たぶん……すぐに殺処分だ。
どうする?暴れて……逃げるか?
頭を一瞬過ぎったけど
でも……それをしたら、二度とアキラさんには会えないだろうな
アキラさんに会えないなら、逃げても…生き残っても…死んだのと一緒だと思い直して
「カズマさん!!………アキラさんに、ありがとうございましたって伝えてください
あなたのことが、ずっとずっと好きですって
あなたの幸せを願っていますって伝えてください!」
なんで僕は牙狼なんだろう?
なんで僕はこんなところに連れてこられたんだろう?
でも連れてこられたから、アキラさんに出会えたし、アキラさんにも愛されたし……
悪いことばかりじゃなかったかな?
「ジョン君、何を言ってるんだよ!
君がいなくなったら、アキラは……ジョン君!!」
叫ぶようなカズマさんの声が聞こえる。
自分でも驚くほど、大人しく拘束されることを受け入れた。
たぶん僕は、どこかで覚悟をしていたんだ。
千代丸さんに言われたときから?
違うな……連れて来られたときからずっと…
なのに、この胸を締め付けられる痛みは、目に溜まって落ちる涙は……夢を見ていたからで
アキラさんと一緒に光って見えた未来を、叶うって信じていた夢を見ていたからで……
もう一度アキラさんを抱きしめたいな
もう一度アキラさんにキスしたいな
もう一度名前を呼んてほしかったな
そのまま手械を付けられて、車に乗せられて、外ではカズマさんが怒ってくれている声がして
うん、大丈夫だ……僕は今、幸せだったって思えるから
アキラさんに会えて幸せだったって思えるから
「ジョン君!行っちゃだめだ!!
お願いだよ……君がいないと!ジョン君」
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