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9月

117.最悪な日

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9月の初日は最悪な日だった。


前日におじいちゃんの屋敷から送ってもらって
寮の部屋では、静かに静かにくっつき合ってキスをして、甘い話は耳元でして…
こんな日々だったら、楽勝だし!
密着度が高くて、反対にイイかも!!
なんて楽観的な気分でご機嫌で過ごしてたのに


「始業式が終わったら、ちょっと行ってくるね?
なるべく早く帰ってくるから、あっちになんていたくもないから…
だから、お願い起きて待っててくれるかな?」


そんなことを言って、行ってしまったから…
一緒に行くカズマさんにもお願いしたし、絶対に帰ってくるはずなのに
アキラさんはその日、帰ってこなかった………




「ジョン君!ごめんよ、今すぐ出れるようにして!
アキラが……アキラが、ショック状態になって病院に運ばれた!」


朝方にアキラさんにお願いされたから寝れもしないし、でも帰ってくるわけないしっと
ベッドで不貞腐れ気味にゴロゴロしいたら


カズマさんが突然に部屋に転移魔法で現れて、真っ青な顔でそんなことをまくし立てた。


僕はパジャマを脱ぎ捨てて、適当な服と適当な物をとってカズマさんの転移魔法で病院まで駆けつければ
アキラさんはベッドの上で、酸素吸入器にいくつもの管や機械に繋がれていて、苦しそうに必死に息をしていた。


「なんで?なんでこんなことに?
うぅぅ…、だって朝はあんなに元気だったじゃない!
何をされたの?一体何を入れられたの?」


僕は必死にアキラさんの冷たい手を震える手握って、少しでも温かくなってほしかった…


「おじいちゃんにも聯絡を入れたから、もう少し距離が近くなったら僕の転移魔法で呼びに行くから

ごめんね…、俺じゃアキラを守りきれなかった。
まさか、こんなことになるなんて…」


カズマさんは実家に帰ると、父親である学園長の仕事の手伝いをさせられるらしい
その間はアキラさんは薬を投与されるのだが


今回も普段と変わらず投与されていたのに、バタバタと騒がしい音がするので心配になり駆けつけると
心臓マッサージをされているアキラさんが目に飛び込んできた。


「慌てている医師や看護師に、真っ青な顔で立ち尽くすあの人の顔が忘れられない。
誰一人、救急車を呼んでいなかったんだよ?
バレるからって、違法な投与がバレるからって!
アキラは心臓が止まって死にかけてるのに!!」


いつものカズマさんより感情的で、泣き出しそうな様子から、その切迫感と憤りが伝わってくる。


アキラさんの名前を何度呼んでも、アキラさんからの返事はなくて
僕ができるのはアキラさんの手をひたすらに温めて、ずっと呼びかけるだけで


お願いだよ……アキラさん、死なないで
僕を一人にしないでよ
やっと二人の未来が見えてきたのに、消えてしまわないで……
ずっと体を震わせながら、アキラさんの手を握りしめていた。
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