白いワンコ系αなのに運命の番は、虐待されてる優秀すぎるΩで、なかなか溺愛させてもらえません

モスマンの娘

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7月前半

44.初めてのキスは

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「ジョン君、温めてよ……すごく寒いんだ……」


アキラさんが荒い息を繰り返して僕に両手を伸ばす
アキラさんの匂いが感じられなくて…アキラさんの存在が薄すぎて輪郭がわからない


「アキラさん……なんで?」


僕はアキラさんに求められるままに抱きしめても、いつもの甘い匂いも何もしなくて……
アキラさんがこのまま消えてしまいそうで
アキラさんの存在を確かめるように強く、強く抱きしめていた。


「アキラさん……お願いだよ……
もうやめてよ……」


目から溢れる涙が止められなくて、アキラさんの肩を濡らしていく
アキラさんの体が燃えてるように熱いのに、カタカタと震えていて


「ジョン…君……温めて……」


熱に浮かされてうわ言のように繰り返すけど
いくら抱きしめても僕の体温じゃアキラさんを温めることができなくて


「アキラさん……アキラさん……
お願いだから消えないでよ……」


アキラさんがこのまま消えてしまう…
漠然とした不安だけが僕を支配して…
恐ろしくて抱きしめる手を離すことができなかった。






どれくらい抱きしめていただろう……


「もっとやれることあるだろ……」


自分への悪態が口をつくけど、アキラさんの体から離れがたくて何度も立ち上がろうとして失敗している。


それでも、完全に意識もなく喘ぐように息をしているアキラさんを見て
冷やしてあげないとっと、体を離して行った。


洗面器に水を張ってタオル浸し、アキラさんの顔や首を拭いてあげると、身じろぎながらふぅっと溜め息をもらす


「気持ちいいですか?
すいません、もっと早くこうしてあげればよかった……」


もう一度タオルを浸して額に乗せる
首元にも同じものをっと手を伸ばすと、水滴の付いた手に唇を寄せてすり寄ってくる。

「あぁ……水分が欲しいですよね?
ちょっと待っててくださいね?」


ミネラルウォーターをとりだして、口に含む
アキラさんはこんな状態なのに、僕の胸は不謹慎にもひどく高鳴っていて…
唇を重ねて水を送り込めば、すぐに喉を鳴らして飲み込んでいく

初めて交わした口づけはひどく熱いものだった……



何度も何度も水を含んでは口吻を繰り返して、そのたびに罪悪感を伴う歓喜が僕を包んでいく


「アキラさん……僕はこんなにアナタを……」


締め付けられるような気持ちで、水を運び続けると…


水を送り込もうとするときに身じろいで唇をずらされてしまった。
唇から首筋に水が流れて、僕は急いでタオルで拭き取る。


「もう……いらないんですか?」


少し残念だけど、満足してくれたみたいだ……
僕の声に反応してか、唇を探すように首を僅かに振っている。


「ふふっ、なんですか?やっぱり欲しいんいですか?」


僕の唇を探している様子が愛しい…
もう一度、口に水を含んで送り込もうとすると、今度は完全に顔を反らされてしまった。
思わず水を啜っでジュルっとなかなか無様な音が出てしまった。


「どうしたんですか?お水は嫌なんですか?」


アキラさんが眉間にシワを寄せてムズがるような表情で、首を振って口を小さく動かして何かを探してる。


胸がズクンっと跳ね上がった……
もしかしたら…あなたは……


アキラさんの頬に手を添えて唇を重ねていった。
喉からふっと声が漏れるのが聞こえる
満足したように、アキラさんの体の力が抜けていくのを感じた。


あぁ………アキラさんは僕のキスを求めてくれてたんだ
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