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5月

20.旅行の終わり寂しさ

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「蛍ですか!そっか、あれは確かに5月の下旬だ!
あぁ…僕はてっきり、こちらのおばあさんにせっかく教えていただいたのに

そっか~沢に降りたら見れたかもしれなかったんだぁらしまったね
ジョン君は見たかったんじゃない?」


アキラさんはここの女将さんと仲良く話している、別に僕は蛍には興味ないです。
あれは食べてもおいしくないし、単に光る虫だからね?
でもアキラさんがそうやって言ってくれるから


「じゃあ、また一緒に来ましょう
来年にでも、そしたらまた星空と蛍を見れますし!」


嬉しい約束が増えていくけど、アキラさんは少し曖昧な笑顔をしているのが気になったから…聞こうとしたら


「あらぁ、おばあちゃんのお知り合いだったの?
昨年に、もうねえ…あんなに元気だったのに
でもピンピンコロリが一番って言うじゃない?大往生だったから!
最後まで旅館のお手伝いしてくれてねぇ…」



「えっ…⁉だって昨日………ふぅああぁぁ!!!」


アキラさんの悲鳴に聞くタイミングを逃しました!





考えていることは、違うと思いますよ?アキラさん
たぶんあの方はご存命ですよ?
あそこでアキラさんのお気に入りの饅頭焼いてますし…
アキラさんの身長じゃ前の棚で見えなさそうですけど、焼き立てを食べれぇとばかりに呼んでますよ?


「ほら、アキラさん大丈夫ですよ?おばあちゃんがあっちでおいでおいでしてますよ?
行きませんか?」


「ひぃぃぃっ、行かないよ!ダメだよ、ジョン君!?見えるの?連れてかれちゃうよ!!」

あぁ言い方が悪かった…余計に怖がらせてしまった…


必死に縋られて止められたけど、違います違いますっとなんとか宥めて
朝ご飯を食べる頃には真っ赤になるアキラさんがいました


「えっと、すいません、取り乱しました…」

「いいえ…こちらは私の母でね?
おばあさんっていうから、昨年亡くなった私のおばあちゃんだと思ったのよ!
怖がらせて悪かったわねぇ」

お気に入りの饅頭をもしょもしょ食べながら、恥ずかしそうにしてるのも可愛いですよ…


「このお饅頭美味しいですね?今日のはきんぴらごぼうが入ってる、あんまり街で見ないですよね?」



おばあちゃんとお饅頭のことについて色々と聞いているけど
何?寮に帰って作る気なんですか?
アキラさんて料理とかできましたっけ?



結局はおばあちゃんとも女将さんだけでなく、料理長兼旅館の責任者の大将さんとも仲良くなっていた。



「いやぁ~いい旅館だったね?
あのお饅頭はオヤキって言うらしいよ?」


アキラさんは昨日はお化けにビビりまくったことは、綺麗サッパリ忘れたみたいだ!



帰りの電車で僕はアキラさんとの二人だけの時間が終わってしまうことに、寂しい気分になっているけど…


アキラさんは教えてくれたから、僕は何にも縛られることなんかないって、僕がしたいようにしていいって


だから…牙狼の地位とか、僕にとってどうでもいいことなんかじゃなくて
僕はアキラさんとの未来のためにこれからは全力で生きていこうって決めたんだ
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