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4月

3.ファーストコンタクト

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壇上にはαアルファと思われる人物しか目に入らなくて、ゆっくりと変に思われないように視線を動かせば



……いた、あの人だ



生徒会役員の中に一人だけ一際小さい人がいた。女性にしても小さいくらいの身長だが、格好から男性なのは確かで、生徒会長の影に隠れるようにいた。


艷やかな黒い髪は襟足まで伸ばした長めのショートウルフっといった感じ
瞳も夜空のように吸い込まれそうなほど黒い…

その瞳はどんよりと濁り覇気がない、肌は陶磁器のように白く血色もなにもない
美しく整った顔立ちに、しっかりと背筋の通った佇まいから人形と言われても納得してしまいそうだ


僕は生徒会の前で止まり深々と頭を下げた。
間違っちゃいけない…僕はあなた・・・に下げたんだよ?
運命の番さん…


僕がこんなに恋い焦がれているのだから…Ωオメガのあなたでも気づかないわけないですよねっと鋭い視線を送っても


番さんは僕をぼんやりと眺めるだけで、何も感じてない様子だった…



えっ?もうちょっと反応ないの?
赤くなるとか…せめて目で追うとかさぁ?



それよりも明らかに隣のαアルファ然とした人物にめちゃくちゃ睨まれている。
生徒会長だ…


えっ何?もしかして番の約束とかしてる感じなの?
でもこの香りは絶対に僕の運命の番だ!婚約してようが関係ない、絶対に手に入れる!!



その睨みつける生徒会長を一瞥だけして、僕は挨拶に向かった





僕の挨拶の後に入学式の締めのように、生徒会長の挨拶兼今後の注意事項が言い渡された。
……すごかった



「君たちはこの聖マルクス学園に選ばれて入ってきた者たちだ!
自分で考え、感じ、行動せよ!

聖マルクス学園に泥を塗るようなことはないように、自らを律し、高めるのだ!
そして我々と共に、この学園生活を楽しもうではないか!!」


短いけど力強くて、カリスマ性に溢れた挨拶
その言葉に在校生だけでなく、初見の新入生までも立ち上がり拍手を贈る…



この人は人を掌握するのが異常にうまいと見た。
だがそんなことよりも、僕の心をざわつかせたのは




入学式が終わり、壇上から降りる際に生徒会長がごく当たり前の流れで僕の番に手を伸ばし
番も当たり前とばかりにその手を掴んで、エスコートされながら階段を降りたのだ。

ギリっと奥歯を噛んだ…
急がないと…あれは僕の番だ誰にも渡さない
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