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4月

2.入学式

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入学式は大変にかったるいものだった
長いエライさんの演説に欠伸を押し込めるのに苦労をした



僕はジョン、名字も家名もない単なるジョン

牙狼という魔獣の突然変異体で人間並みに知能が高いとか…

牙狼は人間に使役されることが多い魔獣で、ほとんど犬のような見た目をしているが…極稀に僕みたいな人型も産まれる


そして昨今、その人型までも使役し奴隷として扱うのはいかがなものかっという見解が主流になってきている


僕から見たら大変に傲慢でイカれた見解だよ…
僕がいつ人間として扱ってくれといった?


人間の中では第二性であるαアルファの割合が減りつつあるらしい…
優秀なαアルファが減れば人間は衰退をしていってしまう!っと言われているが…

馬鹿馬鹿しい!!



牙狼の人型は人間とも子をなせる、そして人型の牙狼の約6割がαアルファ
元々牙狼の中でも優秀な個体が人型になるからαアルファ率が高いらしい

その牙狼を取り込むことでαアルファ率を上げようとしている



見えかくれするのは、行き過ぎたαアルファ信仰に人間至上主義


表面上は第二性による差別はいけない!
人類は皆平等と唱えながら、ヒエラルキーのトップはαアルファでその下に大量のβベータがいて、その大量のβベータがひ弱なΩオメガを見下している



そんな嫌な人間社会に僕はありがたいことに、仲間入りさせていただけたらしい…



人間の仲間入りをしても僕は魔獣の牙狼には変わりなくて、僕がこの街を移動するには行政の許可がいる
そして僕の首にはGPSが手術でいれられている

こんなひどい制限をされているのに…仲間・・入りなんて笑える



僕は家族と幸せに暮らしていた、奴隷としてでも犬型でも僕の親は僕を愛していてくれたし、兄弟達は仲が良かった
何も不満なんてなかったのに……



僕が人型牙狼のαアルファだから、家族と引き離され、昼夜問わずまさに教鞭を入れられながら勉強に勉強を重ねて

この聖マルクス学園に初めての牙狼として入学することになったのだ
そうこの国での最高学府と言われている学校に!




そんな僕が入学することになった経緯を牙狼の差別撤廃だの、人類の飛躍のためだの綺麗事を並べて
裏に透けて見える第ニ性差別はなかったことにして
おエライさんの演説は進む


そして僕が華々しく呼ばれ、壇上に赴いた…
新入生代表として…




その時、僕の優秀な鼻孔は微かなたまらないイイ香を捕らえたのだ

ヨダレが溢れてとまらないような甘いけど優しい花のような香り
………………あぁこれは……堪らない




壇上に近づけば近づくほどに強くなる
僕は確信した、いる!僕の番になる人がココのどこかにいる…
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