夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの？

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1019.解かれていく2 裏 (sideバスター)

「えっ！あのっ…違うっ、アレは…そのっ…言いたくないんだよ…でも、そんなシバを追い出す気なんてまったくなくて…」


うまく言葉が紡げない、誤魔化さないと！アレはあのマンションは、追い出すんじゃなくて、なんて言えばいいんだ？だって…


「なら教えてくださいよ、俺は今回は本当に悩んでたんですからね！
バスターさんに捨てられるくらいなら、バスターさんに返り討ちにあって殺されたいって思うくらい悩んでたんだから、全部教えてくれないと許しませんよ！」


シバが許してくれない、誤魔化せない…
どうしたらいい？嫌われる、シバに軽蔑されて、怖がれて…
目に涙が溜まっていくのがわかる。嫌だ…知られたくない！
でも、そんな決死の思いまでしていたなんて言われたら、誤魔化す言葉なんて出てこなくて、背中に冷たい汗が伝う、決闘のときには溢れなかった嫌な汗がにじみ出てくる。


「そんなっ、すまない…そんなに思い詰めさせて…でもっアレはっ…ちがっ…その、…私も普通じゃなくてっ…お前をっ…てもっ、……ゔぅっ、許してくれ……」

「バスターさん？大丈夫ですよ？どうしたの？あのマンションは俺を追い出す先じゃないんでしょ？他の人狼を囲うのでもないなら…俺はもう怒るようなの理由なんてないですよ？」


ないわけがない！あそこはだって、私がお前を無理矢理に…
あの時考えていたことが思い出されて、吐き気がする。私はシバになんて酷いことを…


「違うっ、もっと…私は酷いことを…お前には知られたくないんだよぅ…嫌われて、軽蔑されてしまう！」


耐えられずに涙が溢れていく、言えない、言えるわけがない！
あのとき私は、お前を縛り付けてでも、四肢を損壊させてでも、どんな抵抗にあおうとも、力尽くで側にいさせようとしていたなんて…
気持ちが悪い、あまりにも自分自身が醜くて気持ちが悪い！！

シバの手が慰めるように、カタカタと震える私の手に重ねられる。そのぬくもりさへ醜い私には不釣り合いなモノに思えてしまう…

『あんたも俺と変わらないじゃないか！』

ラダの言葉が頭に響く、違う…私はアイツ以下だ、もっと外道で鬼畜で卑怯で醜い！
私なんか、シバには…相応しくない、相応しいわけがない！こうやって触れられることすら、もう許されない！！

あっと小さくシバが声を上げた。


「もしかして…俺をあそこに、監禁するつもりだった？」


シバの呟かれた言葉に体が跳ねる。今っ、シバはなんて言った？シバが、監禁と…私のしようとしたことに、気付いた？
嫌だっ、嘘だっ、シバに、シバに…どうしたらいい？どうしたら…


「そうかっ…あのマンションは俺を監禁するための場所だったのか、だから人狼自治区で…なるほど、だからもういらないから捨ててたのかっ…ふふっ…そうかっ」


ブワリっと涙が次々と溢れていく、シバに自分の醜さがバレてしまって、もうどうしたらいいのかわからない、もうおしまいだと、シバを失うことに絶望していった。