1,010 / 1,164
33.番へ
1005.疑惑の裏 5 (sideバスター)
しおりを挟む
すり鉢状に並ぶ観覧席の真ん中に丸いリングがある。決闘場は白を貴重としていて、石造りで大変に美しく重厚感がある。
観客席には多くの人狼が少し興奮しているようにガヤガヤと溢れている。
私の横には美しい白のジャケットにこれでもかっと銀のキラキラとした煌びやかな刺繍がしてあり、シャツの大きめな襟口は立ててられ黒のスボンはロングブーツにインをして、赤の太めのサッシュベルトを巻いて垂らしているダークさんがいる。
普段のダークさんのきっちりしたスーツとは違い、まるで闘牛のマタドールのような派手な出で立ちが、シェパード系のダークさんに大変に似合っている。
「今日はダークさんは大変に凛々しくて素敵ですね、あぁ…すいません、私ももう少し華やかな服装をするべきでしたか?
決闘と聞いていたので、冒険者のときの服装にしてしまいました。」
「ありがとうございます。いいえ、大丈夫ですよ
私は組の長としての公開決闘になるので、このような格好ですが…決闘をすれば血も付きますし服も破れますからね、こんな煌びやかな服は着ないにかぎりますよ」
私の服装はオフホワイトの七分袖にボトムはカーキ色の少しぴっちり目のカーゴパンツをコンバットブーツにインをしている。首にはいつもシバが巻いてくれる薄手のクリーム色のスカーフをしていて、ただこれは決闘には不向きかもしれない…
「ふふっ…それにそのスカーフならしっかりと淑女に見えますからね、問題はありません」
「あぁ…ありがとうございます。やっぱり項を隠すのは大切なのですね…」
ダークさんの言葉にスカーフを取ろうとしていた手を止めて優しく一撫でしながら、場違いにも頬が緩んでしまう。
後ろにはアキラさんとシノダ教授が持ち込んだ椅子と机に座りノートパソコンをポチポチとしている。それに何人かのサポーターのダーク様の組の方々が控えている。
「はぁ…それに、今回は族長の番様がいらっしゃるので、私は下手な格好では出られないのですよ…
アキラが手を回したらしいのですが、一体どうやって番様を…族長を招待するよりも難しいのですよ!」
ダーク様が硬い表情で、観覧席のしっかりと区切られていて見るからに豪華そうな貴賓席を見上げる。まだ空席の状態のその場所には人狼にとってはすごい方がみえられるのだろう…何人もの警備の方が忙しなく動いている。
「まぁそのお陰で許可が下りたのですけどね?バスターさんが人間だというのが…あと正組合員にしていなかったのもいけませんでした。
決闘場での公開決闘は正組合員に限られますし、直接処罰は人間だと法的にグレーゾーンで…本当にアキラはどんな手を使ったのやら…」
「たぶん私なんかには計り知れないような手なんでしょうね…」
ワアッと観客席から大きな歓声があがり盛大な拍手が沸き起こる。
真っ白なグレートピレニーズ系人狼が薄藤色のワンピースにグレーのジャケットを羽織った、優しい微笑みを浮かべながら貴賓席に入ってきた。観覧席の人狼達に向かい手を振る様は…まぁ上品で優美だこと…
とても今から始まるような血生臭い決闘を見せていいとは思えないが…
「あのっ…大丈夫ですか?私は流石に手加減なんてできませんよ…本気でアイツを消しにいきますが…あの方にお見せしたりしても…」
「もちろん大丈夫ですよ!直接処罰なのですから、しっかりとバスターさんが気が済むように罰してください
番様は気にしなくて大丈夫ですよ、あの方も何度も決闘を経てあの座にいらっしゃいますからね?ああ見えて番様は、ものすごい猛者ですよ!」
ダーク様の言葉にもう一度番様を仰ぎ見る。にこやかな慈愛に溢れたような笑顔だが…あの方が…?猛者なのか…??
「私がまだ若い時に見た番様はそりゃあもう、すごい戦いっぷりでしたよ!
白い毛を真っ赤に染めながら戦う姿は圧巻てした…歯をむき出してまるで野獣のようで、大変に素敵なお姿でした。はぁ…あそこまで戦える雌はなかなかいらっしゃらないから、誰もが番様を敬仰しているのですよ」
うっとりとした表情で番様を仰ぐダークさんの言葉に、胸を撫で下ろしす。ガヤガヤと騒ぎ出した決闘場の雰囲気に顔を向ける。
リングの向かいに罪人達が入場してきた。
観客席には多くの人狼が少し興奮しているようにガヤガヤと溢れている。
私の横には美しい白のジャケットにこれでもかっと銀のキラキラとした煌びやかな刺繍がしてあり、シャツの大きめな襟口は立ててられ黒のスボンはロングブーツにインをして、赤の太めのサッシュベルトを巻いて垂らしているダークさんがいる。
普段のダークさんのきっちりしたスーツとは違い、まるで闘牛のマタドールのような派手な出で立ちが、シェパード系のダークさんに大変に似合っている。
「今日はダークさんは大変に凛々しくて素敵ですね、あぁ…すいません、私ももう少し華やかな服装をするべきでしたか?
決闘と聞いていたので、冒険者のときの服装にしてしまいました。」
「ありがとうございます。いいえ、大丈夫ですよ
私は組の長としての公開決闘になるので、このような格好ですが…決闘をすれば血も付きますし服も破れますからね、こんな煌びやかな服は着ないにかぎりますよ」
私の服装はオフホワイトの七分袖にボトムはカーキ色の少しぴっちり目のカーゴパンツをコンバットブーツにインをしている。首にはいつもシバが巻いてくれる薄手のクリーム色のスカーフをしていて、ただこれは決闘には不向きかもしれない…
「ふふっ…それにそのスカーフならしっかりと淑女に見えますからね、問題はありません」
「あぁ…ありがとうございます。やっぱり項を隠すのは大切なのですね…」
ダークさんの言葉にスカーフを取ろうとしていた手を止めて優しく一撫でしながら、場違いにも頬が緩んでしまう。
後ろにはアキラさんとシノダ教授が持ち込んだ椅子と机に座りノートパソコンをポチポチとしている。それに何人かのサポーターのダーク様の組の方々が控えている。
「はぁ…それに、今回は族長の番様がいらっしゃるので、私は下手な格好では出られないのですよ…
アキラが手を回したらしいのですが、一体どうやって番様を…族長を招待するよりも難しいのですよ!」
ダーク様が硬い表情で、観覧席のしっかりと区切られていて見るからに豪華そうな貴賓席を見上げる。まだ空席の状態のその場所には人狼にとってはすごい方がみえられるのだろう…何人もの警備の方が忙しなく動いている。
「まぁそのお陰で許可が下りたのですけどね?バスターさんが人間だというのが…あと正組合員にしていなかったのもいけませんでした。
決闘場での公開決闘は正組合員に限られますし、直接処罰は人間だと法的にグレーゾーンで…本当にアキラはどんな手を使ったのやら…」
「たぶん私なんかには計り知れないような手なんでしょうね…」
ワアッと観客席から大きな歓声があがり盛大な拍手が沸き起こる。
真っ白なグレートピレニーズ系人狼が薄藤色のワンピースにグレーのジャケットを羽織った、優しい微笑みを浮かべながら貴賓席に入ってきた。観覧席の人狼達に向かい手を振る様は…まぁ上品で優美だこと…
とても今から始まるような血生臭い決闘を見せていいとは思えないが…
「あのっ…大丈夫ですか?私は流石に手加減なんてできませんよ…本気でアイツを消しにいきますが…あの方にお見せしたりしても…」
「もちろん大丈夫ですよ!直接処罰なのですから、しっかりとバスターさんが気が済むように罰してください
番様は気にしなくて大丈夫ですよ、あの方も何度も決闘を経てあの座にいらっしゃいますからね?ああ見えて番様は、ものすごい猛者ですよ!」
ダーク様の言葉にもう一度番様を仰ぎ見る。にこやかな慈愛に溢れたような笑顔だが…あの方が…?猛者なのか…??
「私がまだ若い時に見た番様はそりゃあもう、すごい戦いっぷりでしたよ!
白い毛を真っ赤に染めながら戦う姿は圧巻てした…歯をむき出してまるで野獣のようで、大変に素敵なお姿でした。はぁ…あそこまで戦える雌はなかなかいらっしゃらないから、誰もが番様を敬仰しているのですよ」
うっとりとした表情で番様を仰ぐダークさんの言葉に、胸を撫で下ろしす。ガヤガヤと騒ぎ出した決闘場の雰囲気に顔を向ける。
リングの向かいに罪人達が入場してきた。
0
お気に入りに追加
367
あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる