夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの?

モスマンの娘

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1005.疑惑の裏 5 (sideバスター)

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すり鉢状に並ぶ観覧席の真ん中に丸いリングがある。決闘場は白を貴重としていて、石造りで大変に美しく重厚感がある。
観客席には多くの人狼が少し興奮しているようにガヤガヤと溢れている。

私の横には美しい白のジャケットにこれでもかっと銀のキラキラとした煌びやかな刺繍がしてあり、シャツの大きめな襟口は立ててられ黒のスボンはロングブーツにインをして、赤の太めのサッシュベルトを巻いて垂らしているダークさんがいる。

普段のダークさんのきっちりしたスーツとは違い、まるで闘牛のマタドールのような派手な出で立ちが、シェパード系のダークさんに大変に似合っている。


「今日はダークさんは大変に凛々しくて素敵ですね、あぁ…すいません、私ももう少し華やかな服装をするべきでしたか?
決闘と聞いていたので、冒険者のときの服装にしてしまいました。」

「ありがとうございます。いいえ、大丈夫ですよ
私は組の長としての公開決闘になるので、このような格好ですが…決闘をすれば血も付きますし服も破れますからね、こんな煌びやかな服は着ないにかぎりますよ」


私の服装はオフホワイトの七分袖にボトムはカーキ色の少しぴっちり目のカーゴパンツをコンバットブーツにインをしている。首にはいつもシバが巻いてくれる薄手のクリーム色のスカーフをしていて、ただこれは決闘には不向きかもしれない…


「ふふっ…それにそのスカーフならしっかりと淑女に見えますからね、問題はありません」

「あぁ…ありがとうございます。やっぱり項を隠すのは大切なのですね…」


ダークさんの言葉にスカーフを取ろうとしていた手を止めて優しく一撫でしながら、場違いにも頬が緩んでしまう。
後ろにはアキラさんとシノダ教授が持ち込んだ椅子と机に座りノートパソコンをポチポチとしている。それに何人かのサポーターのダーク様の組の方々が控えている。


「はぁ…それに、今回は族長の番様がいらっしゃるので、私は下手な格好では出られないのですよ…
アキラが手を回したらしいのですが、一体どうやって番様を…族長を招待するよりも難しいのですよ!」


ダーク様が硬い表情で、観覧席のしっかりと区切られていて見るからに豪華そうな貴賓席を見上げる。まだ空席の状態のその場所には人狼にとってはすごい方がみえられるのだろう…何人もの警備の方が忙しなく動いている。


「まぁそのお陰で許可が下りたのですけどね?バスターさんが人間だというのが…あと正組合員にしていなかったのもいけませんでした。
決闘場での公開決闘は正組合員に限られますし、直接処罰は人間だと法的にグレーゾーンで…本当にアキラはどんな手を使ったのやら…」

「たぶん私なんかには計り知れないような手なんでしょうね…」


ワアッと観客席から大きな歓声があがり盛大な拍手が沸き起こる。
真っ白なグレートピレニーズ系人狼が薄藤色のワンピースにグレーのジャケットを羽織った、優しい微笑みを浮かべながら貴賓席に入ってきた。観覧席の人狼達に向かい手を振る様は…まぁ上品で優美だこと…
とても今から始まるような血生臭い決闘を見せていいとは思えないが…


「あのっ…大丈夫ですか?私は流石に手加減なんてできませんよ…本気でアイツラダを消しにいきますが…あの方にお見せしたりしても…」

「もちろん大丈夫ですよ!直接処罰なのですから、しっかりとバスターさんが気が済むように罰してください
番様は気にしなくて大丈夫ですよ、あの方も何度も決闘を経てあの座にいらっしゃいますからね?ああ見えて番様は、ものすごい猛者ですよ!」


ダーク様の言葉にもう一度番様を仰ぎ見る。にこやかな慈愛に溢れたような笑顔だが…あの方が…?猛者なのか…??


「私がまだ若い時に見た番様はそりゃあもう、すごい戦いっぷりでしたよ!
白い毛を真っ赤に染めながら戦う姿は圧巻てした…歯をむき出してまるで野獣のようで、大変に素敵なお姿でした。はぁ…あそこまで戦える雌はなかなかいらっしゃらないから、誰もが番様を敬仰しているのですよ」


うっとりとした表情で番様を仰ぐダークさんの言葉に、胸を撫で下ろしす。ガヤガヤと騒ぎ出した決闘場の雰囲気に顔を向ける。
リングの向かいに罪人達が入場してきた。
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