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31.番う軌跡

883.序章

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「アキラさんにトレーニングを付けるんですか?いや…全然俺はいいけど、アキラさんは大丈夫なんですか?
お仕事がいつも忙しそうだし、それなのにトレーニングまで…」


また再度研究室に呼び出されて、今度は向かいにはシノダ教授とカズマさんが座っている。アキラさんはバツが悪そうにサイドのソファにちょこんと座って目線を反らしている。


「そうなんだけどね、アキラ君の体力をつけるのも仕事の一環ってことで…
アキラ君は絶対的に体力がないんだよ、それをスキルと精神的体力で補っちゃうから
ポーション作りをやりだすとフルで持ってるスキルを使いだすからね、これを三日三晩やりたいらしくて、これは正気の沙汰じゃないよ!」

「でもこれでも大分研究室時代の作り方より効率化は進めたんですよ?
あの当時のアキラは本当に…こだわりが強かったから…一週間ぶっ続けとかで作ったりしてたから」

「それでも三日三晩は駄目だからね?
そんなにしてたら症状に触りかねないし、普通の人でもぶっ倒れます!
そこで…シバさんに体力自体を増やすトレーニングをしてもらって、体力だけで一時的にでもポーション作れるようにしたいんですよ」


つまりアキラさんは体力がないから、精神的体力をその分回してるってこと?
それって…過労死する直前みたいな状態なんじゃないの?あとシノダ教授が症状ってさっき言ってたよね?アキラさんって病気か何かなの?


「えっと…すいません、俺はあまり頭がよくないから、ちょっと難しいところはわからなかったけど…
とりあえずアキラさんの体力を増やしたいんですよね?スキルや精神的体力を使わずに体力でポーションを作ってる間に、頭を休めたいってことで合ってますか?」

「そう!シバさんは理解力は素晴らしいよ?頭が悪くなんかないじゃないか
普通の体力ならカズマ君の回復魔法である程度回復できるから…
この前、アキラ君の本気のポーション作りをしてるところを初めて見せてもらってね
減っていくステータス値みながらゾッとしたよ、ありゃ命を削りながら作ってるようなものだからね!」

「ゔぅぅ…まさかそんなに怒られると思ってなかったんですよ、僕は昔からあの作り方で…」

「うん、まさかアキラの中で寿命削りながら作ってたなんてね?だからアキラのポーションは美しいんだろうな…命の灯火で光り輝いていたなんて…はぁ最高なわけだ!」


カズマさんがうっとりとアキラさんを見つめている。それを咎めるような視線をシノダ教授が送り、目線の先にバツが悪そうなアキラさんが…


「シノダ教授に褒めてもらえて嬉しいです。そうですね…アキラさんの件はわかりました。
ただどれくらい体力があるか見てからトレーニングメニューは考えましょう!それにアキラさんはお時間はいつぐらいが空いてますか?」

「あっ、なんなら今からでも…もちろんシバさんが大丈夫ならですけど!」

「俺は大丈夫ですよ、今日の予定はトレーニング室の見回りくらいだから
そうだ、カズマさんも一緒にトレーニングしたらどうですか?」


カズマさんの顔がめちゃくちゃ嫌そうに歪んでいく、トレーニングとか体を動かすの嫌いなんだろうな…


「いいね!カズマと一緒にできたら心強いし、カズマと一緒ならトレーニング中でもポーションの雑談できそうで楽しそうだ!
運動しながらとか閃きが生まれやすいって論文もあったくらいだから、いいかもしれない」

「えっ?それなら絶対に一緒にやるよ、アキラがもしかしたら何か閃く瞬間に立ち会えるかも!はい、シバさん!早くいきましょう!ほらっ早く!」


アキラさんの言葉にさっきまでのやる気なさ気な雰囲気がころりっと変わって、俺を急かしてくる。
ダーク様のこと散々に犬扱いしてたけど、カズマさんもすごく犬っぽいなぁ、散歩を急かす犬みたいだっと思いながら、訓練室に向かっていった。


「とりあえず俺も見守らせてもらうね?
アキラ君はああ見えても負けず嫌いだから…無茶しないように見張らないとね?」


後ろからシノダ教授までついてきた。なんでカメラを片手にもってるのかは謎だったけど…
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