上 下
793 / 1,164
28.シバという人

789.シバ  3  (sideジョン)

しおりを挟む
「ふわぁ…最高の感触だね!ずっと洗ってられるよ、気持ちいぃ…」

「はぁ…そうですか?アキラに洗われたときも似たようなこと言われました。」

「へぇ~アキラさんもジョン君を洗ってあげるの?意外だな、家では面倒見いい感じなの?」

「いやぁ…初めて出会ったときに、今みたいに爪が絡んじゃって洗えなかったから、普段は自分で洗いますよ?」

「………えっ?何これ?」


シバさんが僕の首の毛を洗っていた手が止まり無言になっていく…んん?
なんだろう、この既視感は…確か前にも…

シバさんの手がゆっくりと僕の背中や腰を撫でていって、その動きにゾクゾクとした感覚が走る…何?シバさん急に何?
めちゃくちゃ気持ち悪いんだけど…
うわっ!ちょっと!ソレ以上は嫌だ!!
ソレ以上下は駄目ですよね?セクハラもいいとこですよね??


「嘘だろ…アキラさん…あの人、信じられない!なんてことを……クソッ!!!」


シバさんは恐ろしい怒号をあげると、全身アワアワ状態の僕を放置してバタバタと大浴場を出ていった。

僕はシバさんの無意識の発した威嚇の影響で、ビリビリっと体が震えるけど……これはまずい気がする!絶対に勘違いしている気がする!!


震える手でシャワーの水を出して頭から被っていく!冷たくて体が縮みあがるけど、その刺激でなんとかガタガタ震える足を立ち上がらせる。
アキラが危ないかもしれないから、もしかしたらシバさんがアキラを……



============


「シバさん!違いますからね?
僕のこの背中もお尻の傷もアキラがつけたものじゃないですから!
アキラは僕を叩いたことすらないですよ!
もう叩かれて終わるなら、そっちの方が百倍は楽だったって思うことはあったけど…
本当に本当に…アキラは僕に痛いことはしないですから!」


騒ぎに集まってきていた訓練生をかき分けてシバさんを追いかけて入った執務室では、もう目を覆いたくなるような状態で

アキラはシノダ教授に抱きしめられているし、アキラの顔は明らかに赤く腫れてるし、シバさんば号泣してローテーブルの上に横たわってるし、その前には鬼のような表情のバスターさんが…

もうっ本当に何があったんだよ!


「はっ?何?アキラさんはジョン君を虐待してるんじゃないの?
俺はてっきり…その傷と首のGPSで…」

「傷もGPSもアキラに出会う前に付けられた物で…
GPSはアキラが僕にこれ以上傷をつけるのが嫌だって、手術で取り出せるけど痛い思いをさせたくないって、だから強力な磁石で壊してはくれたけど、そのままで…」


シバさんは完全に体の力を抜けて、脱力していった。
そしてノロノロとローテーブルから立ち上がると、シノダ教授に抱きしめられたままのアキラに床に頭を付けていった。


「すいませんでした…俺は誤解であなたにひどいことを…本当にすいませんでした。」

「あぁ…シバさん、あなたはたぶん軽い混乱状態だったんですね、あの部屋の興奮剤と幻覚剤が効いちゃいましたか?
あなたは人狼だから、薬の耐性が弱いんでしょうね…
アキラ君、もう大丈夫そうだ……ってアキラ君が大丈夫じゃないね!?なんて顔してるんだい?」


シノダ教授が覆い隠すように抱きしめていたアキラを離していくと、今にも泣き出しそうなクシャリっとした顔をしていて…


「僕は…異常者で…最低な…小児性愛者ロリコン野郎なんだ…死んだほうがいい!!」
しおりを挟む
感想 237

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...