夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの？

26.そして共に

670.ようこそ元学園長 (sideマサト)

「本日はお越しいただいてありがとうございます。
お掛けください、そう緊張しないでくださいよ
獲って食おうとはしませんよ？」


しっかりしたダークグレーのスーツに青色のシャツ
黒と灰色と白の斜めラインのネクタイをしっかり締めて
アキラさんの本気度を感じるカッチリスタイルが眩しい！


ソファに座り朗らかに笑うアキラさんの向かいには
白髪のような美しい長い銀髪に、同じ色の長いヒゲ
シワの刻まれた顔には長い年月を生きてきたことを感じる。

もとは大変端正な顔立ちだったようだが、苦労からか暗い表情からか、あまり生気がない

黒色のローブのような服を羽織って、見るからに魔法使いっといった風防の浮世離れをしている格好の元学園長が


その横にはビシリっと灰色のスーツにネクタイ姿、更に七三分けにメガネっといった遊びの欠片も見られない姿の男性が座っている。


「いや、アキラ君こちらこそ、このような場を作っていただき感謝しております。

うちのカズマが大変に申し訳ないことしたっと聞いておるます。
申し訳ないがこちらはワシの弁護士じゃ、慰謝料なりなんなりと申し付けていただきたい」


スーツ姿の男性がしっかりとした最敬礼をしてみせる。
元学園長も深々と詫びるように礼をする。
声はしゃがれ、疲れているように見受けられる。
なるほど…慰謝料ですか……


「ふふっ、慰謝料ですか？
ははっ、僕がそんなもので納得いくとでもお思いですか？
金なんて僕は求めてないことを貴方はご存知ですよね？

ねぇ……元学園長
貴方は僕と約束しましたよね？
アイツを以前に拉致監禁傷害罪で訴えない替わりに、貴方がしっかりとアイツの面倒を見るっという契約を結んだ
その契約書がコレです。
それを…貴方は逃げ出したらしいですね？」


アキラさんが初っ端から容赦しないとばかりに、一枚の契約書を机やパンっといい音をさせて叩き出す。


「アイツは今回、何をしたと思います？
ダークからも連絡が来てませんか？

今回は僕だけじゃない…僕の現パートナーとこちらの僕が勤める会社の会長宅にも被害をだしてます。
証拠はこちらに全て整っています。
提供はしませんが、この場での確認なら了承します。」


おじいちゃんの玄関ホールを半壊させたのは、貴方がほとんどですよね～？っと突っ込みたいが……
今はもちろん神妙に黙ってアキラさんの横に立っている。
もしも、この老人がアキラさんを害すようなことがあれば身を呈してでも守れるように。


「わかりました。では、確認させていただきたい。
慰謝料では許されないっ言うならば
何をお望みでしょうか？
今回は私共に完全に非があります。なんなりと……」

「それでは、こちらの映像をご覧ください
アイツが僕のパートナーの意思を乗っ取り、我が家で僕を暴行したときのものです。
谷口さんお願いします。」


アキラさんは元学園長の詫びをする隙さへ与えはしない
どんどんとあのエルフがやらかしたことを突き付けていく。


さすがだ、アキラさん！
これは自分がやられたらっと思うと涙がチョチョ切れそうだが
見ている分には大変に頼もし、怖い！！
会社でやられたら、確実にパワハラ案件だ……


谷口がプロジェクターにアキラさん宅の防犯カメラの映像を流しだす。
それは俺達にすら未だ見せられなかった映像が流れていった。