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25.怯える君
648.あなたに捧げる懺悔
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「アキラ君……大丈夫かい?
少し話をしようか?ひどい顔をしてるよ…
ここには僕たちしかいないからね?
安心しておくれ…」
ロンさんがベッドサイドに椅子を持ってくると、僕の手を握って話を促してくれる。
本当に優しい人だな、カウンセリングが必要なくらいひどい顔なんだろうに…
はっきりとは言わないでくれる。
「あいつが……僕のポーションを引き継いでくれるって、そう思ってたから
だから、僕はどこかで死ぬのが怖くなかったんです。
僕は酷いやつですね
あいつに勝手に僕の後を、生きた証を押し付けておいて……
それを断られたからって、こんなにショックを受けている。
ジョンの言う通りですよ…人の生きる道を決めるなんて…
確かに僕が一番嫌うことだ」
それでも、僕はカズマに僕のポーションを引き継いで欲しかった。
あいつほど、僕のポーションを解ってくれるやつなんていないから
あいつほど、僕のポーションを愛してくれるやつなんていないから、あいつほど……
「大丈夫だよ、それだけ君はカズマ君を大切に思ってたんだよ……
カズマ君が特別だったんだよ
それは恋愛感情ではないのだろうけど、カズマ君のことを相棒と認めていたんだよ」
相棒か…僕たちはそんなに柔らかな健やかな関係にはなれたことはなかったけど
それでも確かに僕はあいつを認めていた。
あいつの魔力は誰よりも豊富で、心地よくて、僕をいつも支えてくれていた。
あいつ自身も、僕をいつも……
「僕は馬鹿だな…
何を意地を張っていたんだろう
あいつに、カズマだけには見られたくなかったんですよ!
動かなくなっていく指を、働かなくなっていく頭を、駄目になっていく僕自身を
せめてあいつの中だけでも、完璧にポーションを作ってた僕のままでいたかった。
だから逃げたんですよ、あいつから…
どれほどその行為がカズマを傷つけるのかも知りながら
僕は、あいつにずっと酷いことをしてたんですよ」
ずっと隠していた自分の気持ちを言葉にしてしまえば、それは懺悔のようで
自然とポロポロと涙と共に溢れていく。
ロンさんが太いカサついた指でその涙を拭ってくれる。
「君は病気に本当に苦しんでいたんだよ?
この病気は研究者にしたら死刑宣告みたいなものだよ?
君を責めれる人間なんてだれもいないさ…
君が生きていく上でそのプライドを捨てるわけにいかなかったんだよ
大丈夫だよ…君は酷い人間なんかじゃないよ」
肩を抱き寄せて、ポンポンっと優しく叩いてくれる。もうポロポロと溢れる涙も口から漏れる嗚咽も止まらなくて…
「大丈夫だよ、きっと彼もわかってくれるさ…大丈夫」
ロンさんのカーキ色のシャツに涙が染み込んでいくけど、それすら許してくれるような優しい声が僕を安心させてくれた。
少し話をしようか?ひどい顔をしてるよ…
ここには僕たちしかいないからね?
安心しておくれ…」
ロンさんがベッドサイドに椅子を持ってくると、僕の手を握って話を促してくれる。
本当に優しい人だな、カウンセリングが必要なくらいひどい顔なんだろうに…
はっきりとは言わないでくれる。
「あいつが……僕のポーションを引き継いでくれるって、そう思ってたから
だから、僕はどこかで死ぬのが怖くなかったんです。
僕は酷いやつですね
あいつに勝手に僕の後を、生きた証を押し付けておいて……
それを断られたからって、こんなにショックを受けている。
ジョンの言う通りですよ…人の生きる道を決めるなんて…
確かに僕が一番嫌うことだ」
それでも、僕はカズマに僕のポーションを引き継いで欲しかった。
あいつほど、僕のポーションを解ってくれるやつなんていないから
あいつほど、僕のポーションを愛してくれるやつなんていないから、あいつほど……
「大丈夫だよ、それだけ君はカズマ君を大切に思ってたんだよ……
カズマ君が特別だったんだよ
それは恋愛感情ではないのだろうけど、カズマ君のことを相棒と認めていたんだよ」
相棒か…僕たちはそんなに柔らかな健やかな関係にはなれたことはなかったけど
それでも確かに僕はあいつを認めていた。
あいつの魔力は誰よりも豊富で、心地よくて、僕をいつも支えてくれていた。
あいつ自身も、僕をいつも……
「僕は馬鹿だな…
何を意地を張っていたんだろう
あいつに、カズマだけには見られたくなかったんですよ!
動かなくなっていく指を、働かなくなっていく頭を、駄目になっていく僕自身を
せめてあいつの中だけでも、完璧にポーションを作ってた僕のままでいたかった。
だから逃げたんですよ、あいつから…
どれほどその行為がカズマを傷つけるのかも知りながら
僕は、あいつにずっと酷いことをしてたんですよ」
ずっと隠していた自分の気持ちを言葉にしてしまえば、それは懺悔のようで
自然とポロポロと涙と共に溢れていく。
ロンさんが太いカサついた指でその涙を拭ってくれる。
「君は病気に本当に苦しんでいたんだよ?
この病気は研究者にしたら死刑宣告みたいなものだよ?
君を責めれる人間なんてだれもいないさ…
君が生きていく上でそのプライドを捨てるわけにいかなかったんだよ
大丈夫だよ…君は酷い人間なんかじゃないよ」
肩を抱き寄せて、ポンポンっと優しく叩いてくれる。もうポロポロと溢れる涙も口から漏れる嗚咽も止まらなくて…
「大丈夫だよ、きっと彼もわかってくれるさ…大丈夫」
ロンさんのカーキ色のシャツに涙が染み込んでいくけど、それすら許してくれるような優しい声が僕を安心させてくれた。
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