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15.二人が一緒に歩むため

293.君の唇に痛いキスを  (ヒロシside)

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女性が入ってきてアキラの名前を呼んだ瞬間、アキラの余裕のある態度は一変した。

「ふっちょっと…何?なんで?」
明らかな怯えの表情で、少しでも距離をとろうと窓側の壁ギリギリまで後ずさる。


「アキラさんどうしたんですか?大丈夫ですか?」


自分の声など届いていないのは明白で、カタカタと震える体を守るように自分の両の手で抱きしめている。


指先が白くなるほど握りしめているのが痛々しかった。


「ああァァー嫌だぁ、僕に触らないで…イヤだァァ」


遂に叫びだし壁づたいに崩れ落ち、頭を抱えて座り込んだ。

「っ魅了のフラッシュバックか…蛇塚さんなんてことを…

アキラさん!
しっかりしてください、嘘だろ…どうしたらいいんだよ?
アキラさん、俺を見て!
あんたは何もされてないよ!」


咄嗟にアキラの両手を掴み組み敷いて、自分の存在を確認させるようにするがアキラの目にはヒロシは映っていない。


カタカタと震え、明らかに呼吸がうまくできていない。
ハァハァハァと過呼吸を起こし顔色が青くなっていく。

「イヤだァァ…離してっもうヤダァお願い…やめて…許して…嫌なんだよっ」


アキラの見開かれた目からはポロポロと大きな涙が流れ落ちるのが痛かった…


「アキラさん!アキラさん!クソッすいません!」

ガッ

アキラの顔を思いっきり殴った。

「ふっふぅ…嫌だ…したくない!触らないでっ」

一瞬動きが止まったがっアキラの様子は変わらない。

ヒロシはひたすら考えた…アキラを止める術を…

「ふふっアキラさん…これならどうですか?」




ヒロシはアキラの唇に自分の唇を押し当てた。

それはキスと呼ぶには、色っぽさも甘さもないものだったけど。

震える唇から無理矢理舌をねじ込んで逃さないとばかりに頭を抱え込む。
応えるわけもない縮こまった舌を探して奥へ奥へと犯していく。

ヒロシの胸には小さな罪悪感と確かな熱が燻った…

次の瞬間、下半身にありえない痛みが走ったと思ったら。

ガシャン!ガチャガチャ

机の方に投げ飛ばされた!
あまりの痛みにヒロシは動けなかった。
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