夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの？

13.願わくば二人に幸福を

244.あの子への悲しみを杯に注いで

「…終わりか？
もうこれ以上、ひどい情報でてこんじゃろうな？

もしまだあるなら、この場でお前さんの口を塞ぎたいくらいじゃよ」


へたり込みながら、半笑いの憔悴しきった顔で会長は呟く。


「もうありませんよ、これ以上ひどい情報なんてね。

バーボンおかわりもらえますか？

ギルマスも飲みましょうよ…
もう飲むしかないでしょう？」


田中が2つのグラスにバーボンの瓶、氷のバケツを持ってきた。


「会長、すいませんが私にも飲ませてください。
ズズッ」


田中は目が赤く明らかに泣くのを耐えている。鼻をすすりながら３人分のバーボンを注ぐ。


３人は軽くグラスを軽くぶつけ合うと、一気にバーボンを飲み干していった…



「田中、ほれジーザスにあれを見せてやれ！
最高傑作なんじゃよ、これを見せたくてここに連れてきたんじゃ！

もうな、本当に幸せそうなんじゃよあの二人がな！

わしはこの二人が幸せであって欲しくてなぁ…」


会長はかなりの量のバーボンをあおり、目は完全に座りソファにあぐらをかいている。

ついには泣きながらクラーケンのあぶりをかじりだした。

田中は淡々と映像の準備をするが、足元がおぼつかなくなっている。

どうやら自分が一番酒には強いらしいと…シノダ教授はため息を漏らした。