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レスタが必死な理由
しおりを挟む「私の事は忘れ置いてくださればよいとお伝え頂けますか?お構いなくと」
「それは・・・」
「男爵様もこんな可愛げのない女なんか相手せずとも、お気に召した方とお過ごしになられればよいかと思います。子は・・・その方との間に作られればよろしいかと。そうですね・・・私が邪魔になったら街にでも放り出してくださいな。それまでに一人で生きていけるように準備を」
「そ、そんなことさせません!!させるわけがありませんよ!」
スティファニアの口からこぼれてくる言葉に青くなって必死に話すレスタ。
「主にはきちんと言って聞かせます。ですから、屋敷を出て行くなんて考えないで下さい!」
あまりにも必死なレスタに、スティファニアは悟った。あぁきっと、妻になってくれる女性が見つからないほど醜男なのだろうと。爽やかな青年であるレスタを迎えに寄越したのはいきなり逃げられないため。それでも、役立たずとして追い出された女を受け入れるような人なら、酷い扱いは受けることはないだろうし、気は優しい人かもしれない、食事と寝るところさえ確保できるのならそれでかまわないとさえ思っていた。もう未来に期待する気力さえも残っていないのだから。
「男爵様にはお相手はいらっしゃらなかったのですか?突然私などを押し付けられて・・・もしかして誰かとの仲を引き裂いたのだとしたら・・・」
「それだけはありませんから!あの主にお相手がいた事なんてないんですから!」
レスタの様子に、スティファニアの予想が確信のもとへとなった。そう、男爵はきっと見目があまりよろしくない。だから嫁の来手がないのだ。そこへ沸いて出た褒美と言う名の押し付けの結婚。男爵自身は望んでいなくとも、男爵家としては願ったり叶ったりだと言うことなのだろう。どんな相手でもいい。ただ受け入れてくれるのならとスティファニアは思っていた。
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