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第二王子アークトゥルス
第二王子は媚薬を盛られる
しおりを挟むラビリアが15歳になり、学園の卒業パーティを明日に控えた日、事件が起きる。
コンコンコン
「アーク様、失礼しま・・・」
「はぁ、はぁ、うぅ・・・来るな・・・はぁ・・・近寄るんじゃない!ラ、ラビィ・・・頼む!・・・はぁ、うっ、今すぐ・・・うっ・・・屋敷に帰れ!!」
「ア、アーク様、どうされたのです!?」
執務室のソファに身を投げ出し、胸を押さえてアークトゥルスが苦しそうにもがいている。頬は上気し、額には汗が滲んでいた。
「ダメだ!近寄るなっ!!」
「お体が・・・痛むのですか?」
「ラビィ・・・うっ・・・頼む、はぁ・・・君を・・・うっ・・・傷つけたくない!」
「ア、アーク様・・・?」
「誰かに・・・媚薬を・・・くっ・・・盛られた・・・らしい・・・うっ」
「大丈夫なのですか!?お辛そうです・・・」
「頼む・・・はぁ・・・これ以上・・・君が、ここに、いたら・・・我慢が・・・できなく、なるっ!・・・うっ・・・だから・・・頼むっ、早く、部屋から・・・出るんだ!」
「ダメです!放ってはおけません!どうすればよろしいのですか?どうすれば楽になるのでしょうか!」
「媚薬は・・・はぁ・・・精を・・・吐き出さないと・・・はぁ・・・おさまら・・・うっ・・・ない」
それを聞いたラビリアは自分にできる事、アークトゥルスを助ける方法を瞬時に巡らせ、答えを探した。そして決心する。
「アーク様、この執務室の鍵はどちらです!」
「なぜだ・・・」
「こちらを封鎖します。外からは入れないようにします。他の女生徒を巻き込むわけにはいきません、お願いします、鍵を」
「そこに・・・かかってる・・・上着の・・・うっ・・・ポケットだ」
「わかりました、アーク様、必ずお助けします。待っていてください!」
バタン!ガチャ
ラビリアは控えている黒紫星の影に声をかけ、誰も部屋に通さないように警護を頼み、駆けて行った。
「ラビィ・・・」
どのくらい経っただろうか。鍵を開け、ドアが開く音がした。
「アーク様!」
「ラビィ・・・なぜ・・・はぁ・・・戻って、きたんだ!」
「アーク様。お辛いでしょうが、馬車で王宮にお連れします」
「何を・・・言ってる!・・・離れる・・・んだ!」
「アークトゥルス!今は一刻を争う、ラビリア嬢の言う通りにしろ!」
「あ・・・兄上!?」
「全く・・・情けない。一体誰に盛られたんだ。油断しすぎだ。それに考えてもみろ?これ以上我慢したら、お前は間違いなく正気を失って、無理矢理ラビリア嬢を襲うぞ!こんな雰囲気のカケラもない所で、初めてを迎えるつもりか?」
「な、何を・・・はぁ・・・」
「いいから、王宮に戻るぞ!・・・おい、手伝え」
アークトゥルスは、兄レグルスが引き連れて来た近衛騎士に支えられ、学園の執務室を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
ひとつ、貸しだからな!
あまりがっつくなよ
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