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61、義母から母へ【最終回】
しおりを挟む「義母上」
「あら、バージルよく来たわね!」
「ここでの暮らしはどうですか?」
「えぇ、もう最高よ!気を使う相手もいない、のしかかる重圧もない、何と言ってもハリーと一緒にいれるわ!」
「幸せそうで何よりですよ」
「ハリーと夫婦になって、貴方が息子になったわ」
「えぇ」
「ね?言った通りになったでしょう?」
「?」
「騎士団の応接室で、話した事があったじゃない?私が最後に言った事覚えてる?」
「最後に言った事?」
「私ね、母になりたいと言ったわ」
「えぇ、義母になりましたね」
「いいえ、貴方の母になったわ。義母ではなく母に」
「確かにそうですね、母上」
二人でクスクス笑い合う。
「それにね、レグルスの懐妊を周知した時に、ハリーにたくさん仕事を依頼したわ」
「あの時は父上も、忙しいけど領地の経済力が上がったと喜んでましたよ」
「まぁ、派手にやったからね」
「まさか、細々とやっていた繊維業に、箔がつくなんて、思ってもいませんでしたよ」
「はじめはハリーの為になるならと思っていたわ。でも、あなた達が私達の背中を押してくれた。離縁する前に王妃権限をフル活用してやったわ!おかげで侯爵位に格上げしちゃった!しっかり利用しなくちゃ勿体無いものね」
「全く、母上は本当に強かなお方だ」
「さんざん王家に利用されたのよ?このくらい罪にはならないわ」
ーーーーーなぁ、天国の母上、見ているか?父上は今、強かで明るい彼女と幸せそうに笑っているよ。長年の想いが叶ったんだ。でもな、母上は、確かに愛されていたよ。この屋敷には、血の繋がった家族の兄上や俺でも立ち入れない場所がある。誰の目にもつかない、裏庭の小さな花壇。「悲しみ」「変わらぬ愛」という言葉を持つ花を知ってるか?母上が亡くなってから、父上はその花を、誰にも触れさせず、今でもその花壇で大事に育てている。そこにはマリーゴールドが咲いているんだ。父上と出会ってくれてありがとう。俺を産んでくれてありがとう。・・・・・・マリー母上。
平凡で、何の取り柄もなく、何も持たなかった騎士は、妻、三人の子ども、父の幸せ、新たな母、たくさんのものを手に入れた。星の妖精姫に捕われた平凡騎士は、王配になり、国をさらに繁栄させていく。何十年、何百年、幾度も月日が流れても、この国は愛で溢れている。流星に願いを、あなたの幸せを願って。
(完)
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これにて本編完結です!お付き合い頂きありがとうございました。明日の更新で、今後の予定を開示します!番外編で、12組のカップルのお話が続きます。番外編の最後までお付き合い頂けましたら幸いです!
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