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お姉様と妹

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レイドルートが大量のため息をつきながら毎日を過ごしている頃。


「ローゼリアお姉様!ようこそお越しくださいました」

「本日はお招きいただきありがとうございます」

「もう!ずぅっと、お会いしたかったですのよ?」


頬を膨らませ、上目使いで見上げてくるのは、レヴィス公爵家のご令嬢、マリアンヌだ。蜂蜜のような柔らかい色のブロンの髪を持ち、エメラルドのような瞳をキラキラと輝かせ、馬車から降り立ったローゼリアの元へと駆け寄ってきた。一つ下のマリアンヌは、ローゼリアの事を姉のように慕う。


「嬉しい事をおっしゃっていただけるのですね」

「ローゼリア様は、私のお姉様ですから!」

「まぁ、私にはいつからこんなにも可愛らしい妹ができたのかしら」


なんとも微笑ましいやり取りだ。マリアンヌがローゼリアにこんなにも懐いているのには理由がある。マリアンヌは双子であり、片割れは弟。名はアーノルド。アーノルドは、生まれつき病弱で、寝台の住人と化していた。両親はアーノルドにつきっきりで、幼いマリアンヌには、いつも乳母が付き添っていた。貴族の令息令嬢は、幼い頃から歳近い者を集めたお茶会や、家門内での交流などを行っていく。もちろんマリアンヌもそういった経験はあったが、付き添いは乳母。両親が付き添わないことで、そういった縁繋ぎにも影響が出た。貴族同士であれば、どことの付き合いを深めたがいいだとか、こことよくしていた方がいいとか、忖度があるものだ。だが、両親の付き添わないマリアンヌに、貴族の親世代は、片親も付き添わないなど、将来性がなく、放置されているのだろうと遠巻きに見るに留まった。そのせいか、マリアンヌに寄ってくる子ども達はおらず、いつも一人。お茶会なんて楽しくない。行きたくないと、両親に訴えても、お前の将来のためと突き放される。もうこれで最後にしたいと、気乗りのしないお茶会に出たときの事だった。マリアンヌ9歳の時。出会ったのだ。生涯姉として尊敬してやまない彼女に。



彼女は完璧なきれいなカーテシーを披露する。女のマリアンヌから見ても惚れ惚れする様子だった。


『陛下にご挨拶申し上げます。カルストフ侯爵が娘、ローゼリアにございます。陛下に一つお願いがございます。この場で一番年長である私が代表してお話しさせて頂きとうございます。殿下の婚約者となりたいご令嬢方は皆様ご一緒されたようです。ここに残った者は興味がないか、恐れ多くてご一緒できなかった者でしょう。待ちぼうけになっても時間の無駄にございます。どうか、この場に残った者は解散という事でいかがでしょうか』




    
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