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深いため息
しおりを挟む「・・・はぁぁ・・・」
「陛下・・・」
「・・・何だ」
「また、ため息をついておりますよ」
「・・・」
レイドルートの執務室。先程から何度も深いため息をつくレイドルートに、呆れたような視線を向けながら、宰相ロドルフォが諌める。
「あれからまだ3日と経っておりませんのに」
「それでもだ。一度会えば何度だって会いたくなる。一日と待たず、すぐにでも会いたい・・・」
花へのお礼とともに、贈るのを控えてほしいと、ローゼリアが離宮に訪れてから丸二日が経った朝、執務室にて仕事をしているレイドルートだったが、ため息が止まらない。宰相が言うように、まだ三日と経っていないのに、レイドルートはローゼリアに会いたくて仕方がない。本当は、少しでいいから、毎日会いたい。お茶の時間ほど、いや、挨拶を交わす程度、この際姿を見れるだけでもよかった。
「陛下・・・会いたいのなら、なにか理由をもうけでも会いに行く機会をつくればよろしいではないですか」
「・・・会いに行く理由か・・・」
愛しい相手に会いに行く。それに理由などいらないのだろうが、なにかきっかけがなければ、進展はあるまいと宰相ロドルフォは思っていた。なんなら、王子妃教育を終わらせていると言っても過言ではないローゼリア。教育を担当していた者達から優秀だとお墨付きだ。
「陛下、ローゼリア嬢はとても優秀です」
「あぁ・・・知っている」
「優秀さだけを取り立ててれば、王宮にて文官や侍女にと推薦するところですが」
「・・・嫌な想いをした王宮で、彼女に仕事をしろと?」
「そこです・・・殿下に瑕疵がなければ、どんな理由であろうと、彼女を側におけるのでしょうが・・・距離は多少縮まるのでしょうがね・・・」
「・・・だとしてもだ、彼女を大勢多数の目に晒すつもりはない。奇特の目に晒されるのも本意ではないし、彼女の可憐さに、周りの男が放っておくわけがない。わざわざそんなところにローゼリア嬢の身を置くわけがないだろう・・・」
「確かに・・・」
レイドルートはまた深いため息をつく。まもなく日も高々と上る時間。
「・・・離宮に行ってくる」
「あまり長居はしませんように」
「・・・昼食をとって少々休憩するだけだ」
「承知しました」
執務室を出ていくレイドルートの 元気のない背を見つめながら、どうしたものかとロドルフォは思案するのだった。
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