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娘の幸せを願う

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「ローゼリア、陛下のお言葉お前はどう考える?」


レイドルートが侯爵邸を出た後、屋敷では神妙な面持ちで侯爵夫妻とローゼリアが向かい合っていた。


「・・・よくわからないと言ったところが正直な気持ちです」

「ローゼリア、あなたは私達の宝よ。たった一人の娘。幸せになって欲しい。私達が願うのはそれだけ」

「お母様・・・」

「そうだぞ、ローゼリア。領地にこもっても、陛下が仰られたように、婚約の打診をいつまでも断り続けるのにも限界はある。陛下の妃となれば守っていただけるだろう・・・だが」


侯爵はうつむき何かを考えているようだ。


「陛下のお言葉を信じるなら、ローゼリアに対して親身に思って頂けているのは確かだ。しかし、妃となれば、一度は婚姻した身となる。先の事はわからないが、初婚でないというのは後に悪条件となりかねないと懸念がある」

「えぇ・・・格好の噂のまとになるでしょうね。目先の安全をとるべきか、未来を見据えてじっと耐えるか・・・何が一番ローゼリアにとってよいのでしょうね・・・」


自分の幸せを願って大いに悩んでくれている。両親に愛されている。心からローゼリアは嬉しく思っていた。貴族の娘であれば望まぬ政略結婚だってある。だが両親は、これまでもローゼリアに政略結婚を無理強いはしてこなかった。侯爵夫妻は恋愛結婚でおしどり夫婦として社交界でも有名である。ローゼリアに王家からの婚約打診があった時も、何度も本当にいいのかと訪ねてくれた。


「お父様、お母様。心配してくれている事、幸せを願ってくれている事、しっかりと感じておりますわ。悔いのないように、しっかりと私自身の今後を考えてみようと思います。少しだけお時間を下さい。答えが出るまで大いに悩んでみようと思います」


娘の柔らかな笑みに、夫妻は少しだけ安堵していた。


「ローゼリア、一人で抱え込まずに何でも話しておくれ」

「そうよ。あなたは私達の大事な可愛い可愛い娘よ。あなたの出す答えに反対するつもりはないわ。しっかりと考えて、自分で納得のいく答えを出しなさい」

「ありがとうございます。あまり気負わずに考えてみようと思います」


ローゼリアは両親と別れ、自身の部屋に向かった。部屋にたどり着くと、そのまま倒れこむように寝台へ身を投げ出した。


「・・・いろいろありすぎて心が追い付かないわ・・・」


しばらくそのままモヤモヤと考えていたが、自分が思った以上に疲れがあったのだろう。ローゼリアは気付けばそのまま眠ってしまっていた。









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