87 / 131
【アリエルside】俺の今後を決めるのは
しおりを挟む「アリエル・モーガン様、いえ、アリエル・アルタイル様」
その名で呼ぶな!
「お見事でした。全ての事を一夜で片付けられましたな」
「あぁ、全てはリシェの為だ」
リシェを傷つける奴は誰であっても許さん。万死に値する、始末するに決まってるだろうが。
「あなた様に悲劇が起きて、行方不明となったと聞いた時は、本当に悔やみました。国にとって惜しい方を失ったと。まさか、アリエル様の元にいらっしゃるとは知らず・・・ご無事でなによりでした」
宰相はちゃんとリシェの優秀さと素晴らしさをわかっているようだな。リシェはいい女だ、そして俺の嫁だ。
「アリエル・モーガン辺境伯当主様、貴殿に次代の国王になって頂きたい!」
単純だな・・・兄上がダメなら弟の俺か?俺は国王になんかなるつもりはない。それに、俺だって王族、俺には罪を犯したあいつらと同じ血が流れているんだ。そんな奴が国王になるなど、民が良く思うわけがないだろう・・・
「それは間違いありません。しかし、私は、リシェリア様のお姿をずっと見て来ました。アイスフォード殿下に寄り添い、王子妃教育を頑張って続けてこられ、外交や事業に関する見聞も広めておいででした。私の知る、どのご令嬢よりも、未来の国母にふさわしい」
確かに、リシェは王妃になるにふさわしい女だ。だが、それと俺が国王になるのは別の話だ
「そんなリシェリア様が選んだお方です。アリエル様、私はあなたを幼い頃から存じ上げております。あなたは本当に民を想っている方だ。外見のせいで怖がられる事も多々ありました。しかし、他を想って動くあなたは、とても優しいお方なのです」
リシェが選んだ俺か・・・なんだかいい響きだ。しかし、シグルドよ、リシェと同じ事を言うとはな・・・
「リシェリア様の様子を見ていればわかります。本当にお二人は互いを想っておいでだ。私は、アリエル様・・・あなた以外の王は考えられません。ご決断を!」
何がご決断だ。リシェの様子?想いあって・・・そう言われると・・・くそっ、早く帰らせろ!俺は早く帰って、この可愛い嫁を抱きしめて、ちゅっちゅの刑を執行せねばならんのだぞ!(←なんだそれ)
「俺は王になりたいとは思わん。地位など不要だ。今の生活にも不満はない。国王になる利点が思いつかん」
俺は今の生活になんの不満もない。むしろ潤っている。潤いすぎてぷるぷるだ。
「だが、少々誉めてやる。お前はリシェリアをきちんと評価している。そしてロシェリアと同じ事を言った。俺が民想いだと。俺だけの意見で言えば、答えは却下だ。宰相よ・・・最後にチャンスをやろう」
俺だけの意見であれば却下だが、リシェがどう思っているのかを聞きたい。ここは俺の可愛い嫁の意見を聞こうではないか。最後のチャンスだ。これでダメなら諦めるんだな。
「俺が今後どうして欲しいか、どんな俺でいて欲しいか、お前が決めろ、リシェ」
さぁ、どうする、リシェ?お前は何を思うのだ・・・俺は国王なんぞにならなくても、お前への愛は変わらん。いや、大きくなっていく一方だ。国王であってもなくても、俺は俺だ。可愛い嫁のリシェを溺愛する俺に変わりはない。さぁ、お前の考えを聞かせてくれ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
幸せな未来を見せてくれませんか?
6
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
運命の恋人は銀の騎士〜甘やかな独占愛の千一夜〜
藤谷藍
恋愛
今年こそは、王城での舞踏会に参加できますように……。素敵な出会いに憧れる侯爵令嬢リリアは、適齢期をとっくに超えた二十歳だというのに社交界デビューができていない。侍女と二人暮らし、ポーション作りで生計を立てつつ、舞踏会へ出る費用を工面していたある日。リリアは騎士団を指揮する青銀の髪の青年、ジェイドに森で出会った。気になる彼からその場は逃げ出したものの。王都での事件に巻き込まれ、それがきっかけで異国へと転移してしまいーー。その上、偶然にも転移をしたのはリリアだけではなくて……⁉︎ 思いがけず、人生の方向展開をすることに決めたリリアの、恋と冒険のドキドキファンタジーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます
刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。
5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる
西野歌夏
恋愛
ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー
私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。
2024年4月21日 公開
2024年4月21日 完結
☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる