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【アリエルside】ある日森の中お嬢さんに出会った
しおりを挟むたまには馬にも、こうのんびりと散歩でもさせんとな。厩舎に入れっぱなしじゃストレスも溜まる。
最近は隣国との小競り合いも減って穏やかな毎日だ。
こうやって騎士団の詰所から出る時は、必ず数人の騎士を同行させる。俺は騎士団でも一番強い。国内でもそれは同じだ。引き連れて行くのは俺の護衛なんかの為じゃない。
もし出先で事件や事故が起きた時に、どうしても必要にかられるのだ。敵を相手にするには一人でも十分だと自負をしている。理由はそこではない。
暴漢から令嬢を助けても、お礼を言われる所か怯えられるか、どうせ助けられるなら、見目のいい騎士がいいのか怪訝な顔をされる。盗賊や害獣から商人を救っても怖がられ、小さなこどもには必ず泣かれてしまう。
不本意ながら、他の騎士達を同行させないと、介抱や救護する場合に困るのだ。
ん?獣の唸る声がするな・・・獣同士なら食物連鎖上、必要な事もあるから無視するが・・・マズイな、若い娘が狼と対峙している。
ギャンッ!!!
よし、とりあえずこれでいいな。この娘、泣きもせず、怯えもしていないのだな。いや、諦めて覚悟していたのかもしれないな。
あまり近づきすぎないように声をかけるか・・・。
「大丈夫か?」
「助けて頂いたのですね・・・ありがとうございます」
なっ・・・なんて可憐な声なんだ・・・なんだろうかこの感じ。胸が・・・苦しい。・・・ん?足を捻ってしまったみたいだな。詰所に行って手当をさせるか。カイルあたりならいいだろう、運ばせるか。
「いやぁぁっっ!!」
な、なんだ!?カイルがだめなのか・・・じゃあ、あとはマルクだな。
マルクもダメか・・・さすがにこれは初めてだ、どうするか・・・一旦詰所に戻って女性騎士を連れてこないといけないな・・・ん?・・・何かに引っ掛けたか?・・・んんっ!?
な、な、なんだこれは!?何故俺の服を掴んでるんだ!?というより俺が怖くないのか?嫌ではないのか?・・・しかし、なんだ急に熱くなってきたぞ!特に顔が熱い!!
「うわぁ、団長がいいんですか!?」
「えっ!?団長選ぶ人初めて見た!」
「団長怖くないって女の子中々いないのに!」
うるせぇ!くそっ、それは俺が一番わかっている!!産まれてこのかた女に好かれた事がないんだ!ましてや触れた事もないんだぞ!!しかし、なぜ掴んだまま離さんのだ・・・。俺で・・・いいのか?
アリエルは焦りと期待で緊張しすぎてパニックになっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回、コワモテ団長、照れて真っ赤で挙動不審!?
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