影は落ちました

agapē【アガペー】

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33、若い二人の為のサンライズ家に

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サンライズ公爵家の内情が全て明らかになった。

「陛下、私から提案がございますわ」

「あぁ、聞かせてもらおうか」

「サンライズ公爵家にはまともな方もおりますの。筆頭公爵家が醜聞まみれてお取り潰しになるのは避けたいところでございます。領民には何の罪もありませんもの。なので、当主の交代を要求します」

「ふむ・・・」

「幸い、嫡男のサイラス様は良心的な方です。公爵様には退位頂き、新当主にサイラス様を立てていただくようお願いしたのです」

「しかし、それだけではなんの罰にもならぬな」

「えぇ、考えがありますわ。トワイライト家が持つ男爵領がございますの。ルドルフ様にはそこで領主として働いていただきたいのですわ。自身の領でしたら顔が利きますでしょう?何かまた不正に繋がるのは困りますからね」

「父上に、お前の下で働けというのか!」

ルーカスが必死に抵抗しようと、怒鳴り声を上げる。


「処刑より十分甘い罰ですわ」

「うむ、わしも甘い罰だとしか思えん」

「まぁ、私の監視下に置くという目的もございますが、これはアルビナ様の為ですわ」

「私の・・・」

「えぇ、アルビナ様、爵位を失っても、どんな状況になろうとも、今の生活ができなくとも・・・ルドルフ様と一緒にいたいと思われているのですよね?」

「えぇ、ルドルフ様を愛してます。私は公爵夫人でいたいのではなく、ルドルフ様の妻でいたい・・・」

「・・・アルビナ・・・」

「ルドルフ様・・・もう、綺麗な私ではありません。ルドルフ様以外の男性に体を許してしまった女です。許されるなら・・・私は、死が別つまで、お側に置いて頂きたいと思っております。妻としてでは無理だとおっしゃるなら・・・」

「無理なはずがないだろう!アルビナ愛している!私の妻はこれからもアルビナ一人だ!・・・私は全てを失った・・・しかし、アルビナ、お前だけは失いたくない!!」


ルドルフは勢いよく立ち上がると、アルビナを抱きしめ、共に床に崩れるように座り込んだ。ボロボロと泣き始めたルドルフを抱きしめ、まるで子どもに接するように優しく頭を撫でた。


「オーロラ様、私、この人を幸せにしたいです。ですから、先ほどの男爵領のお話、よろしくお願いします」

「わかりましたわ、アルビナ様」


アルビナが、ルーカスに体を暴かれた事を、どうルドルフが反応するかがこの断罪の一番の悩みでもあった。この二人はきちんと絆があった。もう、大丈夫・・・オーロラは次なる駒を動かすために話をすすめる。

「陛下、では、次はルーカス様ですわ。ルーカス様には辺境の騎士団へ所属、前線に出てもらいます」

「なっ・・・俺が辺境の騎士だと!?」
「えぇ、これでもまともに生きる道を与えるのです。あなたは女性に暴行を加えたのですよ?無事で済まされるわけがないでしょう・・・本当なら牢に繋ぐところですが、せっかくなので民の役にたって頂きましょう」

「確かに、オーロラ嬢の言う通りだ。よかろう」

「な・・・」

国王に肯定されてしまえば覆すことは困難。ルーカスは言葉を失った。


「最後に、エレノア様ですわね・・・エレノア様は罪を犯したとは言い難い。遠方の他家に嫁ぎ先を見つけましょう。隣国なんかもよいかもしれませんわね」

「そんなの、イヤよ!」

「しかし、今の精神状態では、いつルーカス様を追うかわかりませんもの」

「私はルーカスお兄様と辺境へ行くわ!」

「あら、そうですの・・・ルーカス様、いります?」

「こんな女いらん」

「嘘よ、おにいさまぁぁぁ!!!」

泣き叫ぶエレノアを別室に連れて行ってもらい、監視してもらう事になった。


「では、陛下、最後に・・・・サンライズ公爵家が搾取した額面は、精査した後、サンライズ公爵家と私の個人資産から補填させて頂きますわ」

「しかし、オーロラ嬢には何の落ち度もないではないか」

「確かにそうかもしれません。しかし、当主が新しく変わるのです。全ての責任を負わせるには少々荷が重いですわ。それに、姉が嫁に行くのですもの、私からの花向けですわ」

「セレーナ嬢が嫁に・・・」

空気と化していたレオンがぽつりとこぼす。


「二人が一緒になりたいと思った時、公爵家が醜聞だらけで、その上ツケを払わせられるなど、若い二人には立て直すには大変困難ですわ。それに、陛下、私、セシル殿下からのプレゼントノアールにお礼をしてませんのよ。私が買ったと思ってもらえれば良いかと」

「ははははは・・・恐れ入った、オーロラ嬢には敵わんな。オーロラ嬢よ・・・王家に嫁にこんか?幸いまともな王子は二人おる。選んでもいいぞ?」

「私には荷が重いですわ。私は自由な暮らしがしたいのです」

「ふっ、公爵よ、すごい娘をもったな。このままにしておくのが勿体無い」

「本当に末恐ろしい娘です。敵に回すと、私でも命が危ういですよ」

オーロラによる断罪劇が、満足のいく結果となって幕を閉じた。





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次回

【ノアールside】

レオン殿下に目の前で・・・俺だったら立ち直れんぞ
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