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努力と励ましと自信

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翌日も、そしてその次の日も。感を取り戻したフローラに導かれるように、ソルディオのダンス特訓、そしてエスコートの練習は続いていった。


「ソルディオ様、だいぶ形になってきましたね」


執事のヘリオスから声がかかると、ソルディオは嬉しいというより、ホッとした表情を見せる。


「見れるぐらいになったのならよかったです。これも根気よくフローラさんが付き合ってくれたおかげですよ」

「あら、そうとは限りませんわ。ソルディオ様の努力あってこそです」


ニコリとほほ笑むフローラに、ソルディオは心奪われる。この笑顔が、優しい言葉が、自分にだけ向けられていることが、何物にも代えがたく嬉しいのだ。


「さぁ、お二人とも、随分と遅くまで頑張られましたからな。湯あみなさって、ゆっくり休まれてください」


ヘリオスは、にこにこと二人を見やりながらお開きだと促した。


「そうですね、また明日もありますからね」

「えぇ、明日も、よろしくお願いします」


明日もと言葉にしてみると、次の約束があるのだと嬉しくなる。辺境では、令嬢であるエルサを追いかけては袖にされ、正直な気持ちさえはっきりとは伝えることもできなかった。女性に対して免疫があるわけでもなく、経験など全くない。だからこそ、今、目の前で、自分にだけ微笑みかけてくれ、次の約束までくれるフローラに、初めて自分が必要とされているような、あたたかさを感じていた。エルサに相手をされていなかったという事だけではなく、自分の不甲斐なさと、選ばれなかったことがソルディオの枷となっている。いくら相手を好きであろうが、相手からの好意がなければ、何も意味をなさないのだと自身が一番わかっている。


「建国祭まであと5日ですね・・・なんだか毎日がとても速く感じます。やっと形になった程度では、女性をエスコートするなんて・・・ましてやダンスを踊るなんて、できそうな気がしませんよ」

「そんなに不安になることはありませんよ。ソルディオ様は、日々、上手になられております。最初は本当にぎこちなかったですが、今は安心して身をまかせられますもの。きっと大丈夫です」


フローラに言われれば、そんな気がしてくるのだから不思議だ。たった一言が、たった少しの微笑みが、ソルディオに自信を与えてくれる。


「ありがとう・・・ございます」

「いえ、何も・・・遅くなってしまいましたわね。ソルディオ様、ごゆっくりやすまれてくださいね。おやすみなさいませ」

「は、はい・・・おやすみなさい・・・」


ホールを去っていくフローラの背を見つめながら、ソルディオは思う。建国祭でのダンス。相手がフローラなら、どれだけ嬉しいのだろう。そして、どれだけ自信をもって踊れるのだろうと。






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