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認めて貰えること

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「団長夫人、お久しぶりです」


ソルディオはレティシアに深い礼をとり挨拶をする。アイオロスとミリアが別室にて休憩をとると退出したところで、レティシアがソルディオに声をかける。


「よく決心されましたね、何年も研鑽を積んだ辺境を離れるには随分と悩まれたでしょう?」

「はい、自分が成長してきた時間、共に戦った仲間、育て上げた部下・・・どれも手放せないものでした。しかし、辺境伯様から追い出されました」

「まぁ、クレイドル様が?」


レティシアはウィルフレッドの腕の中から、少しだけ驚いてみせる。わかっているのだ。クレイドルは追い出したのではなく、送り出したのを。


「お前が部下達をしっかり育ててきたのだろうと」

「認めてくださっているのですね」

「・・・はい。きっと自分の姿を見せて憧れを抱かせろとでも言いたげでした」


苦笑するソルディオに、レティシアの髪に鼻先を埋めてスンスンと匂いを嗅いでいたウィルフレッドが口を開く。


「俺も、お前が副団長だから、貴族の子息だからと声をかけたわけではない。ちゃんと認めている」


ウィルフレッドのその言葉に、ソルディオは一瞬熱いものが込み上げてきた。なんとか堪えて頷く。


「近衛は貴族も平民も関係ない。実力は大事だが、個人プレイをするような奴は近衛にはいらない。咄嗟に個人で判断するようならば、王族の命は預けられない」


騎士団長であるウィルフレッドの言葉。実力があるからいいのではない、隊を纏めて動かし、力を発揮するのが大事なのだと解く。この言葉をかけられ、いや実力こそ全てだと言い張るものはいらないと言うウィルフレッドの言葉は重い。きっと誰しもに響くはずだ。レティシアに抱きつき、甘えながらではなければ。ソルディオも、一瞬溢れ出そうになった感情も、この目の前の光景で冷静になれた。


「だから期待しているぞ。いずれはアイオロスを騎士団長、お前を副騎士団長にするつもりだからな」


レティシアを腕の中に捉えたままではあるが、ウィルフレッドの視線が突き刺さる。紛れもなくこれは本気だと。確かに本気ではある。だがその本気は、レティシアとの時間を、もっととりたいがために騎士団長を辞めたがっているなどと、ソルディオは知らない。いい方向に解釈をした。


「お前を選ばなかった事を後悔させてやれ。お前ならできる」

「はい・・・期待に応えてみせますよ」


ソルディオはウィルフレッドを見据え、ウィルフレッドは満足そうに頷いた。



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