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眠れないのは

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予想通りと言うべきか。やはりコルテオは眠りにつけずにいた。自身の左腕を枕にすやすやと眠っているエルサ。何故こんな状況になったのか未だにわからない。ただ言える事は、エルサが側にいて、恋人のように寄り添ってくれること。それがとてつもなく嬉しいという事。瞼を閉じてみても、寝息が聞こえたり、エルサが身じろぎすることで、否応なしにも意識して眠れない。


「・・・ん・・・」


すぐ横でエルサの小さな声が漏れる。気にしないようにしていても、そこにエルサがいるのだと実感してしまえばもうダメだ。可愛いなと寝顔を眺めては視線を外し寝ようと試みる。


「コルテオ様・・・」

「何でしょう?・・・あれ?」


名を呼ばれたコルテオは、エルサの目が覚めて、何かを問いかけようとしているのだと思い返事をした。だが、そのあとが何もない。エルサの顔を覗き込むと、寝息を立てているままだ。


「寝言・・・何の夢・・・見ているんだろう」


コルテオは、夢でも見ているのだろうと考えていた。だが考えてもみれば、夢を見ていて、自身の名が呼ばれた。だとすると、自分が夢に出て来ているのではないか。そんな都合のいいことあるはずないが、そうだといいなと期待してしまう。コルテオが勘違いするなと自重するのには理由がある。コルテオ自身はそれをとても気にしているのだが、エルサはどうだろうか。多分、自分では気がついていない。結局、空が白み始めるまで、一睡もできなかった。エルサの寝顔を見ては寝ようと試みる。寝息が聞こえるたびに、そして寝言が聞こえるたびに、そこにエルサがいるのだと実感させられ眠れない。そんなことを繰り返し、気づけば朝になったのだ。



「眠れなかったな・・・」

「・・・ん・・・コルテオ様・・・?」

「あ・・・エルサ嬢・・・おはよう、ございます。すみません、起こしてしまいましたか?」

「・・・いいえ・・・よく眠れましたか?」

「・・・」

「コルテオ様?」

「あまり眠れませんでした・・・」

「怪我・・・痛むからですか?」

「いえ、それはもう大丈夫です」


エルサはコルテオの顔を見上げる。うっすらクマができている。少しだけ力なさげに微笑むコルテオがいた。エルサは、まさか自分のせいで眠れなかったとは思いもせず、怪我が痛むのだろうと心配した。結果、本日も、甲斐甲斐しくエルサの介抱が始まる。コルテオは振り回され、赤面し、オロオロし、結局眠りにつけたのは薬を飲んで落ち着いた夕方だった。食後のお茶を準備しに部屋を出たエルサが戻ると、コルテオは寝息を立てていた。そしてまた、コルテオが目を覚ましたとき、左腕に重みを感じ振り向くと、身を委ねるエルサがいることに驚いていた。



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