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これでも近衛騎士だから
しおりを挟む男が剣を向けてきたことに、コルテオは抱き締めていたエルサの腰に帯剣していた剣を静かに手にし引き抜いた。片手でエルサを抱き締めたまま、もう片方の手で剣を構える。帯剣していなかったはずのコルテオが剣を構えたことにエルサは目を見張る。
「コルテオ様!?えっ・・・その剣は・・・」
「あぁ、すみません、ちょっとお借りしようと思いまして」
コルテオは対峙している男から目を離さずにエルサにちょっと借りますといったノリで答えていた。
「返してください!」
エルサが必死に手を伸ばすも、背の高いコルテオの手の長さには及ばず届かない。
「後でちゃんと返しますから、今だけ格好つけさせてください」
そんなやり取りをしていたコルテオとエルサに、男が不敵な笑みを浮かべる。
「そうか、随分と自信があるようだな。しかしだ、これでもまだそう言ってられるか?」
男がそう言うと、側の茂みから二人の男が姿を現した。
「こっちは三人だ。三人相手に女を守りながら戦えるのか?」
コルテオはその問いに全く反応を見せない。その様子を見て、エルサはコルテオが無理をして虚勢を張っているのだと思っていた。だが実のところ、コルテオは冷静だった。
「じゃあ、さっさと片付けるとするか」
三人の男達は一気にコルテオに剣を振りかざしながら向かってきた。コルテオはエルサを背に庇い、剣を構えた。男が振るう剣をコルテオが受け止める。ガキンッ!キィン!と剣のぶつかりあう音がする。
「うっ!!」
「ぐぁっ!」
「ぐぇっ!」
あっという間の事だった。三人の男地は急所を突かれたのか、うずくまったり地面に膝をついたりしている。
「まだやりますか?」
飄々と話すコルテオにエルサは驚き、男達は勝ち目がないと悟ったのか、何も言わずに悔しそうな表情をしていた。そしてその時だった。
キィン!!
「くそっ!何故ばれた!?」
エルサは音のした方にあわてて視線を向けると、うずくまっていた三人の男達と別にもう一人の男がコルテオに向かって剣を振り上げていた。それをコルテオは剣で受け止めたのだ。
「最初から気付いていましたよ?そちらの方が三人だとおっしゃいましたが、ほんの少しだけ視線が動いたものですから」
「たったそれだけの事で気付いたと言うのか!?」
「これでも近衛騎士の端くれですから」
ニコッと笑って見せるコルテオに、男達は勝ち目がないと退散を決める。去っていく4人の姿が見えなくなるまでコルテオとエルサはその背を見つめていた。
ガシャンッ
ドサッ
「コルテオ様!?」
コルテオは握っていた剣を手放し、地面に倒れていた。
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