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提案と役目
しおりを挟む案の定、眠れるはずがない。床とはいえ、ふかふかの絨毯。頭は柔肌に預けている。女性慣れしている男であったり、気心知れた相手なら気持ちよくうたた寝もできただろう。
「やはり眠れませんのね?」
コルテオの様子を伺っていたらしいエルサが声をかける。
「アバンス団長様とレティシア様がいらしたときにこうやってお昼寝をされていたものですから、こうするとよく眠れるのかと思ったのですけれど・・・」
「お気遣い頂いてありがとうございます・・・」
コルテオはまだほんのり頬を染めたままゆっくりと起き上がる。
「あれは・・・互いに気持ちがあるから成立するのですよ。僕等は・・・そのような関係ではありませんからね」
コルテオは申し訳なさそうに、力のない笑みを浮かべる。
「そうなのですか・・・お力になれずすみません」
「いえ、エルサ嬢は何も悪くありませんから!」
しょんぼりとするエルサにコルテオは慌てて言う。
「そうだ、で、でしたらこうしませんか?」
「なんでしょう?」
「エルサ嬢は僕が寝ているか食べているかが心配なのでしょう?寝るのはちゃんと寝てますから、食事をちゃんと食べているか見張っておいてください。寝食を忘れていれば叱ってくれてかまいませんので」
「そうですね。わかりましたわ。では毎食チェックさせていただきますわ」
「ま、毎食!?」
コルテオの提案はエルサの何かに火をつけてしまったようだ。エルサの瞳は真剣そのもの。まさかコルテオも毎食と言われるなどとは思ってもみなかった。それからと言うもの、食事の時間だと、エルサはコルテオを部屋へと呼びに行くようになる。コルテオがソファでうたた寝をしていたときには、気持ち良さそうに寝ていたので起こすのも忍びなく、観察していたというエルサ。うつろだったコルテオが一気に目が覚めたのは言うまでもない。そして、朝寝坊した日には、エルサに起こされるということまで起きた。そして、何度か朝起こされるを繰り返すうちに、それ以上の事もおきる。なかなか起きてこないコルテオに、エルサは何度も部屋のドアをノックするも反応がない。エルサはしびれを切らし、かまわず部屋の中へと入っていく。ずんずんと進み、寝台で眠るコルテオのもとへと行く。コルテオはというと、すやすやと眠っていて、エルサが入ってきたことには気付いてはいなかった。
「コルテオ様、朝ですわ!そろそろ起きてください。朝食のっ!?きゃぁっ!!」
布団を剥ぎ取ろうとしたエルサの腕が掴まれた。力強く引かれ、エルサは、気付けばコルテオに抱き締められていた。等の本人はむにゃむにゃと寝言を言いながら、まだ寝ぼけている。エルサは真っ赤になりながら、腕から逃れようと必死にもがく。その動きに、本能的に逃すまいと反応しているのか、腕の力が強まりさらに動けなくなった。エルサは何度もコルテオに声をかけると、やっとコルテオは目を覚ました。
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