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とばっちりの謝罪
しおりを挟むライエルを前に、レイバンは頭を下げていた。
「だから言ったじゃないですか、勘違いだと。とばっちりだったんですからね?」
「本当にすまなかった・・・」
「もう、いいですよ。レイバン様とレイラさんの気持ちが通じあって本当によかったです。何度も陰で泣いていらっしゃいましたからね」
「あぁ、レイラから聞いたよ。それを、俺は二人がいい仲なんだと思って勝手に嫉妬していたんだ。レイラを避けた事で、傷つけているとは思わなくて」
「好きな人の涙は、何が理由であれ見たくないものです。あぁ・・・ひとつだけありますね」
意味深にニヤリと笑うライエルにレイバンは何だと首をかしげる。そして一歩近づき、耳元で小声で一言。
「・・・寝台の上で攻め立てる時の涙はそそられます」
「なっ!?」
たちまちレイラとの情事を想像してしまったレイバンは頬を赤く染める。
「おや?レイバン様は・・・女性との経験はまだでしたか」
「う、うるさいっ!」
「くくっ、はぁ・・・俺も早く帰ってリザに甘えたいなぁ・・・俺はですね、リザに跨がらせて、胸に甘えながら下からこう・・・」
「聞いてもないことを答えるな!」
頬を赤く染め、心なしか反応させている存在があり。レイバンはイラつきを見せつつも、耳は赤くなっていた。怒りながら去っていくレイバンを見て、ライエルはポツリとこぼす。
「あの人は本当に、貴族に向かないな」
このやりとりのお陰なのか。人柄に惚れ込んだのかはさておき。ライエルはイズヴァンドの発展を支えていく。一時的な応援の派遣だったが、少しずつ復興していくイズヴァンドに情も沸いてくるというものだ。妻のリザをイズヴァンドに呼び寄せ、ライエルは住み着いてしまった。クレイドルもレイバンとライエルの相性が良かったのだろうと快諾する。イズヴァンドは少しずつ、少しずつ、緩やかに穏やかに日常を取り戻していく。
そんな頃、北の辺境では・・・
「エルサ嬢!今日こそは一緒にお茶を!」
「忙しいのです!これから稽古ですから!」
「それでは終わってから!」
「終わったらフィーノを走らせに行きますので」
フィーノというのは、辺境伯であるクレイドルの愛馬だ。クレイドルが忙しいなか、たまにエルサがフィーノを連れて走らせに行く。フィートは気難しい馬で、クレイドルか、娘であるエルサしか触れさせない。毎日事あるごとにマクシミリオンに追いかけられうんざりしている。そんな様子を、微笑ましげに、心のうちでは羨望の眼差しで、羨ましそうに眺めるコルテオの姿があった。
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