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盛大な誤解

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レイバンはレイラの部屋から出た。だがそのまま立ち去ることはできなかった。今出てきたばかりのドアを背に、動けず立ち尽くしていた。今のレイラにしてやれることはないか。自分はどうすればいいのか。レイラがライエルを慕っているだろう事がわかっていて、ライエルは側についていてやるという役目を自分に譲ってきた。野盗に拐かされ、乱暴を働かれそうになった女など要らないと言うのか。だとしたら腹が立つ。自分を好いているという女をぞんざいに扱うなど、ライエルは遊び人なのだろうか。レイバンは立ち尽くしたままそんなことを考えていた。


「レイバン様」


声をかけられ顔を上げれば、そこにライエルいた。


「何の用だ」


何故か怒気を含んだような声にライエルは首をかしげる。


「何をそんなに怒ってらっしゃるんです?」

「何をだと?わからないのか?」

「えぇ、心当たりがありませんが」


ライエルは本当にわからないといった表情だ。


「お前にとってのレイラはなんだ?」

「何を急に?・・・うぅん・・・何と言われましても・・・」


ライエルの煮え切らない態度にますます腹が立つ。レイラは何故こんな男が好きなのか。何故俺ではないのかと。


「お前の事を好いている女をよくも蔑ろにできるな。気持ちを無碍にするつもりか?」

「はい?俺を好いた女?・・・ですか?」

「あぁ、レイラはお前の事が好きなんだろう。だがお前は心配するでもなく、寄り添うでもなく、レイラはどうだっていいって言うのか!?」


激昂するレイバンに、ライエルは激しく勘違いされていることに気付く。


「レイバン様、誤解ですよ!」

「誤解だと!?」

「えぇ、私には妻がいます」

「妻帯者でありながら他の女に手を出したのか!」

「ですから勘違いですって!俺が愛しているのは妻であるリザだけですから!」

「ではレイラの事は好きでもないのに誑かしたのか!?この地に他の女がいないからか?女だったら誰だっていいのか!?」


ライエルはどうしたらレイバンがおさまるのだろうかと頭を捻ったがいい案が浮かばない。そうこうしているうちに、レイバンがライエルにつかみかかろうとした。だがその時だった。



カチャリ


キィ・・・



「あの・・・何かあったのですか?」


眠っていたはずのレイラが起きて扉から顔を覗かせていた。二人は不安そうな顔をするレイラを見ると、しまったとばかりにバツの悪そうな顔をする。


「レイラ、すまないっ!煩かったんだろう?」

「いいえ、煩いとは思いませんでしたが、随分言い争っていらっしゃったものですから気になって・・・」

「すまない、大丈夫だ。レイラはゆっくりやすんでいい」

「は、はい・・・」


その様子を見ていたライエルは、とんだとばっちりだなぁと思っていた。




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