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駆けつけた先に
しおりを挟む全速力で馬を走らせた。無事でいてくれと無我夢中で走る。レイバンの視線の先にライエルの姿が見えた。
「ライエル!!」
「レイバン様!」
「レイラは!?」
「あちらではないかと。あんな所にテントのようなものが張られています」
ライエルが指した先に確かにテントのようなものがあった。火をおこした形跡もあり、断定はできないが確実に誰かがいる。それも数人。
「ソハナスの者ではなさそうですね」
「だとすると野盗か・・・」
「おそらく」
二人で様子を伺っていると、後追いの騎士達が合流する。武装している所を見ると、ライエルからの指示で戦闘の可能性もあると言われたのだろう。騎士達を横目にテントへと視線を戻したその時だった。
「いやぁっ!やめっ、やめてっ!」
微かにだが女性の声がした。聞き間違えるはずがない。レイバンは走り出していた。
「レイバン様!」
ライエルの呼び掛けにも答えず全速力で走る。テントの前に着くと、音をたてないようゆっくりと侵入する。そこで目にしたもの。男達があられもない姿になったレイラに群がり欲を発散しようとする姿だった。レイバンの頭に血がのぼる。だが冷静になれと自分に言い聞かせる。相手は4人。下手を打てば返り討ちにあう可能性もある。レイラの声に咄嗟に走ってきてしまったものの、外で控えるライエル達と何の連携もとれていない。その上目の前では今にもレイラが男達の欲の捌け口へとなってしまいそうだった。焦りばかりが募るが、じっとしているわけにもいかない。幸い男達は目の前の獲物に夢中でこちらに気がついていない。レイバンは葛藤しつつも、子どもの頃におきた悲惨な光景を思い出していた。目の前で切られた父。数人の男に強姦にあい殺された母。今、目の前で同じ悲劇が繰り返されようとしている。あの時はまだ何もわからない、何もできない子どもだった。だが今は大人だ。実力で近衛の副騎士団長にまで上り詰めた経歴だってある。男達はレイラを殺さないにしても、飼い殺しにはするかもしれない。そんな絶望をレイラに味あわせるにはいかない。レイラには幸せになって欲しい。あわよくば自分の手で。もしレイラがライエルを選ぼうとも、目の前で好いた女が酷い目にあわされているのを助けないという選択肢はなかった。レイバンはそろりと歩きだし、レイラにのし掛かる男の後ろに立った。そして・・・。
思いのたけをぶつけるように勢いよく蹴りをいれていた。
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