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レイラの危機
しおりを挟む「・・・レイラ・・・」
レイバンはレイラとライエルを廊下で見かけてから部屋にこもったままだった。寝台の上に突っ伏して、ただただ、うだうだゴロゴロしている。何時間が経ったのだろうか。朝食も昼食も食べずにだいぶ時間が過ぎていたらしい。そんな時、廊下からバタバタと複数の足音が聞こえてきた。子ども達が元気に走り回っているのだろう。またレイラに追いかけまわされて怒られでもするのだろうかなどとぼんやり考えていた。
バタン!
ドアが勢いよく開き、バタバタと足音が近付いてくる。レイバンが身体をおこすよりも足音の主達の方が一足早かった。
「レイバン様!起きてよ!」
「大変なんだ!」
寝台にかじりつくようにして子ども達がレイバンの身体を揺する。
「どうしたんだ、何があった?」
子ども達の慌て様に、さすがのレイバンのもおかしいと思い起き上がる。
「レイラ姉ちゃんが大変なんだ!」
「レイラがどうした!?」
先程までうだうだとしながら顔を思い浮かべていた相手の名が出てきたことに、レイバンの表情も険しくなる。
「っ!?」
子ども達がレイバンの殺気に驚き息を飲む。
「す、すまん。怖がらせるつもりはなかった。それでレイラがどうしたんだ?」
「レイラ姉ちゃんが連れていかれちゃったんだ」
「連れていかれた?誰にだ?」
レイバンの頭の中に浮かんだのはライエル。二人きりにでもなるために、声をかけて連れ出したのだろうと思った。だが次の瞬間、一気に考えを改めることになる。
「知らない男の人達だよ!」
「身体の大きなおじさん達だった!」
「何だと!?」
レイバンは勢いよく立ち上がる。それを見た子ども達がレイバンの手やら服やらを掴み、早くと急かす。
「どっちの方に行ったんだ?」
「あっち!」
「わかった!レイラは俺が必ず連れ帰る。待ってろ」
レイバンは努めて優しく、子ども達を不安にさせまいと笑顔で答え、子ども達の頭を撫でる。
「ライエルのお兄さんが先に追いかけるから急いで後を追ってきて欲しいって」
「あぁ、わかった」
レイバンは厩舎に急ぐと馬に跨がり子ども達の指した方角へと急いだ。神父とレイラの話では、この地には自分達以外の大人はいないと言っていた。だとすれば大人というのは・・・隣国ソハナスの者かもしくは・・・野盗。間に合ってくれ。その一心でレイバンは馬を走らせた。
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