騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

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変わらない場所

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神父である祖父から語られた過去。許しを請われたところで、レイバンの中に、祖父に対する怒りなどはない。何を許せばいいのか。レイバンは深く息を吐くと、神父の顔を見つめた。


「・・・お祖父様とお呼びしても?」

「・・・あぁ、かまわん。好きに呼んでくれ・・・嬉しいものだな。もう会うことはできないと思っていた孫に会えるとは」


神父はしみじみとレイバンの顔を見る。


「神父様、こんなところでは何です、何もありませんが、中でゆっくりして頂きましょう」

「おぉ、そうですな」


レイラの声かけに、神父がレイバンとクレイドル、騎士達を教会の中へと案内する。そこからは、昔の話やら、世話をしている子ども達の話やらで大いに盛り上がった。


「神父殿よ、領地の現状を詳しく知りたい」

「それでしたら俺も」


レイバンも、話に加わると申し出る。だが、それをクレイドルが止めた。


「そっちはそっちでつもる話もあるだろう?この地の現状を把握して、陛下より報告するよう仰せ使っている。俺の目で見て、この地に何が必要と感じたか知りたいそうだ。この地で20年生きてきた御人に聞くのが一番であろう」

「・・・承知しました」

「なに、仲間外れにしているのではない。これからレイバンはこの地に住むのだ。いろいろと確認も必要だろう」


クレイドルはレイラの顔を見ると、頼んだと少し頷いて見せた。


「・・・では、お言葉に甘えます」

「あぁ、そうしてくれ。レイラ殿、レイバンの案内を頼んだよ」

「は、はい、わかりました」


結局、クレイドルによって、二人にされてしまったレイバンとレイラ。レイラは会話もないまま、教会に隣接する建物にレイバンを案内する。


「こちらです。孤児院が併設になっていて・・・って、レイバン様はご存知でしたね」


レイラが申し訳なさそうに笑う。


「あぁ・・・あの時と・・・変わってないな」

「えぇ、ここは時が止まっているかのようです。あの時の・・・20年前のまま」

「レイラ・・・」


レイバンが名を呼ぶと、レイラははっと顔を上げる。


「生きていてくれてありがとう」

「っ・・・」

「・・・会いたかった」


レイバンの穏やかな笑みに、レイラの心はほぐれていくようだった。だが、必死に自分に言い聞かせる。これは社交辞令。昔の自分を知っている相手に会って、つい口から出てしまった言葉。深い意味はないと、何度も何度も頭の中で繰り返す。


「レイバン様も、ご無事で何よりでした」

「あぁ・・・ありがとう」







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