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現れたのは
しおりを挟む三人のそれぞれの今後について確認を取るように話を進めたクレイドル。
「はい、陛下からもそのように承っております」
「うむ、こちらとしてもありがたい。隣国との関係は改善はしていない故、いまだに膠着状態だ。コルテオ殿の研究には期待しているし、現に以前、随分と役にたった」
「そう言われると嬉しいでね。もっとお役に立てるように努力する次第です」
「あぁ、期待している。そしてマクシミリオン殿。参謀の役割と、領地経営の補佐や指南を行ってくれると聞いている。貴殿は殿下の側近でもあられたらしいな?陛下からは優秀故、何でも相談するといいと伺っている」
「実践でこなした事はまだ多くはありません。私も手探りで行くことになります。全てを任せてくれとは言えませんが、何かお役に立てればと思う所存です」
「して・・・レイバン殿」
「・・・」
これまで三人の会話を静かに聞いていたレイバン。順番がとうとう回ってきた。
「・・・はい」
「貴殿は、しばらくするとイズヴァンドに移ることになっている。だが、一人でというわけではない。隣接した領地でもあるし、行き来もしやすい。騎士達の派遣をする予定だし、教会に残っている子ども達も心配だ。何か手助けできることがあればいつでも言ってくれ」
「ありがとうございます」
レイバンはクレイドルに深く礼をする。
「貴殿は叙爵は受けなかったと聞いた。後ろ盾が必要だろうと陛下とも話をしている。私が後ろ盾になる。何か困りごとがあれば、些細なことでも頼るといい・・・そうだな、父とでも呼ぶか?」
レイバンは、クレイドルの言葉に、目を見開き固まった。
「父・・・ですか?」
「あぁ、まぁ、本当に呼ぶ必要はない。そのくらい頼ってくれればいいと言いたいだけだ」
クレイドルはふっと笑うと、ドアの方に視線を向けた。
コンコンコン
「失礼します」
応接室に、長い黒髪を靡かせ、凛とした佇まいの女性が入室してきた。ソルディオが静かにこちらへと案内する。その女性はクレイドルの隣に腰を下ろした。
「皆様、ご挨拶に伺いました。当主の娘であります、エルサ・アンバーと申します」
クレイドルの一人娘であるエルサだった。
「コルテオ・ハッサルと申します」
「マ、マクシミリオンだ・・・」
一瞬噛んだような挨拶に、副騎士団長のソルディオがクレイドルの後ろから目を光らせる。
「レイバンと申します」
ソルディオの視線は鋭いまま。だが、当の本人は気付いていない。マクシミリオンは、鋭い視線を向けられている事にも気付かず、口は薄く開き、頬をほんのり赤らめながら、ぼーっとエルサの顔を見つめていた。
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