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ウィルフレッドは犬?

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ボロボロ泣いて、レティシアに縋ったウィルフレッド。レティシアはウィルフレッドに立つように言う。


「ほら、立って」

「あぁ」


手を引いて立ち上がらせると、ウィルフレッドはレティシアをぎゅっと抱きしめる。そしてすぐに離れる。いい子でしょう?よく出来たでしょう?と犬のような尻尾と耳が見えそうなくらいにウィルフレッドの目は期待に満ちている。しかしレティシアは、構ってばかりもいられないのだ。


「ウィル、そこをどいて?」

「・・・」


満面の笑みだった顔に影が刺す。だが、これ以上わがままを言って、一緒に寝ないと言われてしまえば本末転倒である。ウィルフレッドは納得がいかない顔で少し横にずれる。その横をレティシアがスッと通り過ぎた。


「皆様、お見苦しい所をお見せ致しましたわ」

「今もお見せしてるみたいですがね?」


コルテオは苦笑いしながらレティシアの後ろを見ている。レティシアは後ろを振り向くと、ソワソワしながら様子を伺っているウィルフレッドがいた。本当にもう、しょうがない人だ。レティシアはそう思いながら三人の方へ向き直ると、そのまま後ろに身体を傾けた。


トン


視界に銀の髪がふわりと揺れる。ウィルフレッドの鍛えられた胸に、レティシアは身体を預けたのだ。もう迷いも遠慮もない。ウィルフレッドはレティシアの腹部に両腕を回すと優しく抱きしめた。首に肩にと擦り寄るように甘えている。


「このままでごめんなさいね?こうでもしないと、夫がまた泣いてしまいそうなの」


ふふっと笑うレティシアを見て、三人が頬を赤らめたのはウィルフレッドには見えていなかったのが救いだろう。


「皆様、これからの事、それぞれが様々な思いを抱えていらっしゃると思います。どうかお身体には十分に気をつけられますよう」


自分達に、こんなに温かい言葉をかけてもらえるとは思わなかった、じんわりと胸が温かくなっていく。


「レイバン様」


レティシアの呼びかけにレイバンがハッと息を呑んだ。


「あの日の事、まだ許してませんのよ?」

「あの日の・・・事?」


レティシアの一言にレイバンは怪訝な顔をし首を傾げる。そして、なんの事だ?と言わんばかりに、ウィルフレッドも顔を上げていた。


「私達の結婚式を台無しにしてくださったではないですか」

「っ!?」

「お陰で弱りきって自信を無くしたウィルはこの様ですわ」


その言葉にレイバンのみならずウィルフレッドも身を強張らせる。レティシアはウィルフレッドの腕を優しくさする。その感触に少しだけ緊張が解けていくようだった。







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