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クラウディアが思うには
しおりを挟む「ねぇ、レティシアちゃん、ウィルフレッドは何も言わないの?」
レティシアは義母であるクラウディアに相談をしていた。いろいろと考えてもウィルフレッドが何を思い詰めているのかが皆目見当もつかず、クラウディアと話せば何か思い当たる事が出てくるかもしれないと思ったからだ。
「初夜をおこなってないわねとか、夫婦なのだから、遠慮しなくてもいいだとかは言ってはみたのですが、何も言いません。嫌がっているわけではないのですが、何か考え込む様子はありますね」
「うぅん・・・」
クラウディアは頬に手を当てて考える。そして口を開いた。
「色気で誘惑してみる?」
「はいっ!?」
驚きのあまり、レティシアは変な声を出してしまった。
「・・・お義母様、私、色気ないですか?」
「そういう事じゃないわ。何か引っ掛かっている事があってできないのであるなら、我慢ができないほどにしてしてしまえばいいと思ったのよ」
レティシアはホッとした。自分に色気がないと言われたのかと勘違いしたからだ。
「でも、そんな事しなくても、これだけ愛してやまないのよ?そうね・・・結婚式かしらね」
「結婚式?」
何故今頃になって、クラウディアの口から結婚式の話が出てくるのか。レティシアは意図が分からず困惑していた。
「結婚式、ちゃんとあげれなかったじゃない?あの子の中ではやっとの思いで手に入れた貴女を、自分の妻だと実感したかったはずよ。見せびらかせたい思いもあったかもしれないわね。でもそれができなかった。奇しくも結婚式の日に、あの子は騎士団長としての仕事を全うしたわ」
「でもそれは、私も行ってきてと送り出しましたし」
「他に取られるかもしれない、レティシアちゃんの気持ちが他の殿方に移ってしまうかもと、ずっと不安だったのかもしれないわ。結婚式をあげれば、公に事実として認められる。だからあの子はずっとその日を待ってた。でも叶わなかった。きっと後悔したくないのね。だから踏み切れないし、後戻りできない状況を作らないように本能的に避けているのかもしれないわ」
「・・・結婚式」
「そう、結婚式。すぐには無理でも、いつかはあげて欲しいわ。あなたのウエディングドレス姿はとても綺麗だった。沢山の人に自慢したくなるほどね。見て、これが私の娘よってね」
クラウディアの優しい眼差しに、母を見た気がした。
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