騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

羞恥と覚悟と意外性

「そんな事でいいんですか？俺にとってはむしろご褒美なんですが」


アイオロスはキョトンとしていた。ミリアにとっては恥ずかしい妄想でも、先にアイオロスがもっと恥ずかしい想像をしていた事を暴露したため霞んでしまったのだ。


「やっぱり確かめたいです。抱きしめて、触れて・・・」

「わ、わかりました！」


もうこうなったらヤケクソだ！ミリアはガバッと起き上がると、アイオロスに横に座るように促し、自分は背を向けた。


「見られるのは恥ずかしいので後からなら」

「・・・本当にいいんですか？・・・はぁ・・・」


アイオロスは必死に込み上げる欲情を抑えようとした。手を伸ばせば触れれる距離にミリアがいる。何なら触れてくれと言っている。だがよく見てみると、ミリアの身体は小さく震えていた。気丈に振る舞っていても、やはり怖いのだろうと、アイオロスは無理矢理欲情を抑え込んだ。後ろからそっとミリアを抱き締める。ミリアの身体はビクッと反応し力が入っていたが、次第に強張りがなくなっていった。


「小さい・・・」

「・・・悪かったですね・・・」

「俺が守ってあげたいです」


アイオロスはそういうと、ミリアの首元に額を擦り寄せた。ミリアは首にかかる吐息と温もりに否応なしに緊張していた。


「やっぱり俺にはご褒美です。今夜の妄想が捗ってしまいそうです」

「んなっ・・・む、胸は触っとかなくていいんですか？」


ちょっと怒ったような口調でミリアは言う。


「震えてましたよね？怖いのでしょう？そんなあなたに無理矢理触れてしまえば、あなたを誘拐して身体を暴こうとした輩と一緒です」

「私がいいと言っているんです。結婚した後にとやかく言われたくありませんから！」

「それでもです、今じゃない。初夜でこれでもかってぐらいに見ますし触ります。触るだけではおさまりませんね。口に咥えたり、きっとたくさん揉みしだきます。それに、顔も埋めたいです」

「へ、変態！」

「そうですね、ミリア嬢の事を考えると俺は変態になってしまうようです。まだ見ぬあなたの裸体を想像してしまっているのですから、随分と変態ですよ。その想像されたあなたは、毎晩俺に勝手に抱かれているんですから。俺はすぐに果ててしまって・・・満足させてあげられないのではないかと不安です。だからと言って、他の男を試そうなんてしてはダメですよ？頑張りますから・・・嫌わないでください」


アイオロスはミリアの首に額をぐりぐりと押しつけて懇願している。一体何を聞かされているのか。ミリアはアイオロスが、こんなにも性欲があり、想像豊かであまつさえ自分と身体を交えている妄想までしているなんて、思いもしなかった。ミリアが知っていたのは、清廉潔白で、誠実で逞しいのに優しい真面目な男。ただそれだけだった。