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男二人で語る事

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「まさかだったな、夫人とリアがソハナスの元王女の娘だとは」

「えぇ、知った時は確かに驚きましたが、俺は納得しました」

「そうなのか?」

「シアは銀の髪。俺がシアと出会って、どこの令嬢か探していた時、噂が立っていたでしょう?ウィルフレッド・アバンスが結婚相手を探していると」

「あぁ、聞いた事があるな」

「国中の令嬢をあたってまわったんです。でも銀の髪の令嬢なんてどこにもいなかった。シアしかいなかったんです」

「確かに、銀の髪というのを見たのは夫人が初めてだな」

「だから驚きつつも納得もしたんです」

「なるほどな」


ウィルフレッドと第二王子アルバートは、執務室に置かれた応接セットのソファで向かい合わせに座り話し込んでいた。


「それで?あれだけボロ泣きだったウィルフレッドが、なんでこんなに元気になったのかな?てっきり王宮へはもう来ないかとすら思ってたよ」

「辞める為に始める・・・そう言われたんですよ」

「辞めるのに始める?どういう事だい?」

「騎士団長を辞めたいと常々言い続けてました」

「確かにそうだな。聞いた事がある」

「周りは好きな相手との時間を取れるって言うのに、どうして自分だけ離れていなければならないのか、次期公爵である自分は、騎士団長などせずとも当主としての未来があるのです。わざわざ騎士団長であり続ける意味などないと思っておりました」

「そうか・・・確かに他が羨ましくもなるな」

「ですがシアが言ったんです。このままだとずっと俺が騎士団長のままだって。最初は辞めるなって言ってたのにどういう事かわかりませんでした。辞めるという事は、後継が必要だという事。だから始めなくてはいけないのです。教育と引き継ぎを」

「辞めるために始めるとはそういう事か。夫人らしいな。辞めればいいというだけでもなく。続けろというでもなく。始めろか」


アルバートはククッと声を漏らしながら笑っていた。


「いつまでも俺のままでもいけません。師匠から俺が団長職を継いだように、俺もまた、誰かへ受け継いでいかなければなりませんからね」

「そうだな。それで?誰をと考えているんだ?」

「団長には第一隊隊長アイオロスを」

「うん、彼ならいいと思うよ。副騎士団長も不在だね?誰かあてはあるの?」

「うってつけな人間がいるんですが、本人の意思次第といったところです」

「そうか。まだ秘密って事かな?」

「そうですね・・・本人は今の職の方がいいと離れたがらないかもしれませんしね」


ウィルフレッドは一人の男を思い浮かべながら話していた。だが本人に意思を確認したわけでもなく、打診したわけでもない。だがきっとこなせるだろうと確信は持っていた。









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