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他国の内情
しおりを挟む頬を赤らめて恥ずかしいながらにも、孫を抱けますよと話したアルバート。その様子を知ってか知らずか、国王は嬉々とした態度である。
「名前を考えなくてはな!」
「父上!まだ産まれてもおりません」
「ん?別に考えるくらいいいだろう?男と女、両方考える。楽しみが増えたな。そうだ!ヴィンセントの子の名前も何か考えるとするか」
楽しそうに話す国王の姿を見て、これは収集がつかないなとウィルフレッドは思っていた。まぁ、楽しそうにしているのだから悪くはないかと。
「陛下、この話はこれくらいで」
「そうだな。少々盛り上がり過ぎたな」
オホンと咳払いして体勢を整える国王レオナルド。
「それから、北の辺境領にも寄ってきたのですが、その前に立ち寄った街の宿で珍しい人物にお会いしました」
「ん?珍しい?」
「えぇ、本来ならそこにいるべきではないと言いますか」
中々まわりくどい言い方をするウィルフレッドに、国王は一体誰に会ったのかと首を傾げる。
「いるべきではないと言うのはどう言った意味だ?」
「ソハナスの宰相殿です」
「なんだと!?」「それは本当なのかい!?」
国王と同時にアルバートも驚いた声を上げた。
「ソハナスの宰相がうちの国にいたと言うのはどういう事なのだ」
「はい、宰相殿は・・・国に反旗を翻す考えをお持ちのようで」
「・・・随分と物騒だな」
「ウィルフレッド、それはこちらの国に影響は出ないのかい?」
「全くとは言えません。ですが、こちらを巻き込むつもりはないようです。宰相殿は今の王を引きずり降ろし、新たな王を立てたいのだと言っておりました」
「内部で王位争いが起きるのではないか?」
「陛下もご存知かと思いますが、ソハナスには王子は一人しかいません。その上、今の王は前王を殺めて成り上がった者です。兄弟や跡目争いはないかと。国の状況も良くないので自らが王になりたいと手を上げるものもいないのではないかとの目論見のようですね」
「うむ・・・そうか」
「宰相殿は、できればその王子もろともと思っているようです」
「王子もか」
「えぇ、一人息子のようで、好き勝手育ってしまった王子のようで・・・手のつけようがないほど我儘で傲慢なのだそうですよ」
「ふむ・・・」
国王は他国の事にわざわざこちらから介入する必要もないかと考えながらウィルフレッドの話を聞いていた。だが、ウィルフレッドの次の一言で考えが一気に逆転する事になる。
「エルサ嬢に惚れ込んでいるようで、狙っているようなのです」
「なんだと!?」
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