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休暇八日目②大歓迎に苦笑い

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「ここが公爵領の屋敷?」

「あぁ、そうだ」

「王都の屋敷に引けをとらないわね」


屋敷に着くとウィルフレッドはブルーノの背からひらりと降りると、レティシアを受け止める体勢を取る。レティシアは伸ばされた手を取り、支えられながらブルーノから降りた。


「ウィル、もう大丈夫よ?」


ブルーノから降りたと言うのに、ウィルフレッドが腕にレティシアを抱え離そうとしない。


「ウィル?」

「このまま運ぶ」


そんなやり取りをしていると、庭師が二人に気付いて屋敷の中へと駆けて行った。すぐに数人の使用人達が集まってきた。


「坊っちゃま!それに若奥様、よくいらっしゃいました!」

「あの小さかった坊ちゃまがご結婚を・・・」

「美しい若奥様ですわね!」

「さぁさ、お疲れでしょう?部屋にご案内致しますよ!」


挨拶を交わす暇さえないまま、勝手に盛り上がっている使用人達があれよあれよと荷物を運び、ブルーノを連れて行き、部屋へと案内される。


「ウィル、おろしてよ、歩けるわ」

「嫌だ」

「えぇ?」


そんなやり取りを微笑ましく眺めていた使用人達が歩きながらも口々に話をする。


「坊っちゃまは若奥様が大好きでいらっしゃるのですね!」

「まぁ、愛されておいでですわ」

「きっと宝物なのよ」

「一時も離れたくないのでしょうな」


好き勝手言っている使用人に、何だかバツの悪そうな顔をしながら見ているウィルフレッド。部屋に案内されると老齢の執事が改めて挨拶をと使用人を集めた。


「若奥様、使用人一同若奥様を歓迎致します。坊っちゃまがご結婚なさると聞いて、この領地の屋敷の者一同どれだけ嬉しかったことか。幼い頃から剣に精通していらっしゃり、聡明なお子であられましたが、騎士団長を拝命されてからこちらの屋敷には来られることもなく、皆寂しく思っておりました。この度こちらに来ていただけると伺い、皆で準備致しましたので、ごゆっくり過ごされてください。若奥様、順にご紹介させて頂きます」


老執事は使用人達を簡単に紹介しながら説明を進めていった。


「何かございましたらお声がけください。まずは昼食をご準備しています。お部屋にお運びしましょうか?」

「うーん、皆さんはもう召し上がったの?」

「いえ、これからです」

「それでしたら、ご一緒にいかがです?皆さんのお話も聞きたいわ」

「なんと、お心も優しいとは!坊っちゃまもいい方に恵まれましたな」

「その、坊っちゃまって言うのはやめてくれないか。さすがに俺ももうすぐ30だしな・・・」


ウィルフレッドは使用人達に向かい、苦笑いをしていた。






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