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【ソルディオside】美しき黒曜石の姫

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「ソルディオ、王都から近衛の騎士団長が来られるそうだ。明日到着され2、3日滞在の予定だ」

「承知しました」




近衛の騎士団長・・・
確かアバンス公爵家の嫡男で歳は確か・・・28だったか
直接お会いした事はないが見目が良かったと記憶している
厄介だな・・・
俺だって見目には自信があるし、歳も姫は19、俺が24と釣り合いだってとれるが・・・が・・・
俺は子爵家の出でしかない
俺の愛しき姫とは釣り合いが取れない家格なのが辛い







俺は子爵家の次男として生まれ育った
実家の子爵家の産業は主に運送業
兄が後を継ぐ予定で今は父の元で家業を動かしている
どうせ家は継げないからと俺は早々に騎士の道を目指す事にした
領内で騎士を目指すにも大した功績は積めないだろうと
少し離れたところではあったが辺境領が騎士を募集している事を知った俺はすぐさま志願した
辺境は、隣国との小競り合いが続いていて、いつ命を落としてもおかしくない土地
辺境騎士団の訓練は想像を絶するものだった
形だけなんかの騎士とは違い、身体はもとより精神さえも鍛えられた
毎日の訓練に疲れ果てて泥のように眠り、朝を迎えていた毎日
ある日の訓練の途中、俺はしばしの休憩で木陰で倒れるように休んでいた
頬に急に冷たさを感じ驚いて目を開けると、そこには黒曜石のような艶のある髪を揺らしながら、俺の額に水で濡らした布巾を乗せていた少女がいた





「冷たくて気持ちいいでしょう?」




その笑顔に俺は一瞬にて恋に落ちた





しばらくするとその少女を騎士団で見かけるようになった
古参の騎士達が剣をとって指導をしているようだった
女の子に剣をもたせるなんて
だが、少女の瞳は真剣だった




「さすがエルサお嬢様だな」

「エルサお嬢さま?」

「新人か?知らないんだな。あれは辺境伯領主であり騎士団長の一人娘、エルサ様だ」




領主の娘という事は
辺境伯令嬢だと言うことか・・・
釣り合い・・・取れないな・・・





それからの俺は必死だった
たとえ叶わぬ恋でも、少しでも近くにいたい
貴女を守るのは俺の役目であって欲しいと





そして





「ソルディオ、年齢もあって、副騎士団長が退任する事になった。俺はお前を据えようと思っているが、やる気はあるか?」

「!・・・も、もちろんです!!」

「そうか、期待しているぞ」





念願叶って、俺は24歳という年齢で副騎士団長を拝命した




これでエルサ様との距離も縮まる!




あわよくばなんて考えていたのはいつまでだっただろうな
少しでも側にいたくて、少しでも話せたらと
物理的な距離が近まっていくのに対し、心はどんどん離れていくようだった
あの無邪気に笑いかけてくれていた少女はどこへいってしまったのだろう





「朝食を?」

「はい、アバンス団長夫妻がご一緒にいかがかと」

「わかった、行くと伝えてくれ」





一体何を?
まぁ、明日になればわかる






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