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休暇四日目②妻の様子がおかしかった理由
しおりを挟む「恥ずかしい?俺に触れられるのがか?」
「は、はい・・・」
「・・・それは・・・俺の事を意識してくれているという事・・・だよな?男として・・・」
「・・・っ・・・うぅぅ・・・」
イザベラはゲオルグの胸板に頭を押し付け、真っ赤な顔を隠した。
「・・・イザベラ・・・はぁ・・・なんて可愛いんだ・・・」
ゲオルグの表情はこれでもかというほど緩んでいた。辺境の騎士達が見れば、いつもの団長は、辺境伯当主はどこへいったのだろうと唖然としそうなほどに。しかし、ゲオルグには疑問が浮かんだ。何故突然妻がこんな態度をとるようになったのか。そして、自身の事を好きだという態度を隠さなくなったのか。
「イザベラ?」
「は、はい・・・」
イザベラは顔をあげずに返事だけを返した。
「その・・・どうして突然俺の事を意識しはじめたんだ?」
「うっ・・・そ、それは・・・」
固まって何も答えない妻。ゲオルグはイザベラの髪を指に絡めてくるくると遊び始めた。それに気付いたイザベラは、僅かに反応を見せたがじっとしている。
「早く・・・早くイザベラの全てが欲しいな・・・」
聞こえるか聞こえないかの小さな声で、ゲオルグはポツリと無意識にこぼしてしまった。イザベラの耳にはしっかりと届いたらしい。
「か、覚悟はしているのですよ!で、でも・・・あのような・・・」
「覚悟・・・?・・・ん?あのようなってなんだ?」
「へっ!?・・・な、なんでもありませんわ!」
「なんでもなくないな?なんだ?教えてくれ」
「・・・い、言えません!」
「ん・・・そうか・・・期待したんだがな、残念だ」
「期待・・・い、いずれはお応えします・・・もうちょっと待っててくださいませ」
「・・・イザベラ、何の話をしているのかわかってるんだよな?」
「・・・わかってますわ!閨の話でしょう?」
「・・・い、いずれは応えるって・・・イザベラ・・・俺と・・・う、嘘だろう!?・・・いったぁ!!」
「ゲオルグ様!?」
あまりの衝撃の発言に、ゲオルグは飛び起きらんばかりの勢いであったが、力を入れて身体を起こそうとすれば、腕に痛みが走った。
「す、すまん・・・俺、怪我してたんだったな」
「大事なお身体なのですから、ご自愛してくださいませ!」
目の前の妻は、恥ずかしかったのは何処へやら、今は頬を膨らませ、じっとこちらを見つめていた。その姿さえも愛おしく感じる。イザベラがゲオルグを男として意識している。その事実に、ゲオルグの心は跳ね上がり、どうしようもない想いが溢れ、遠慮をすることさえなくなっていく。気付けば再度腕に愛しい妻をとらえ、逃すまいと胸に抱き止めていた。
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次回
別に師匠と夫人がイチャついていようが、何にも羨ましいなんて事ありませんよ
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