騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

文字の大きさ
上 下
287 / 544

休暇四日目②妻の様子がおかしかった理由

しおりを挟む


「恥ずかしい?俺に触れられるのがか?」

「は、はい・・・」

「・・・それは・・・俺の事を意識してくれているという事・・・だよな?男として・・・」

「・・・っ・・・うぅぅ・・・」


イザベラはゲオルグの胸板に頭を押し付け、真っ赤な顔を隠した。


「・・・イザベラ・・・はぁ・・・なんて可愛いんだ・・・」


ゲオルグの表情はこれでもかというほど緩んでいた。辺境の騎士達が見れば、いつもの団長は、辺境伯当主はどこへいったのだろうと唖然としそうなほどに。しかし、ゲオルグには疑問が浮かんだ。何故突然妻がこんな態度をとるようになったのか。そして、自身の事を好きだという態度を隠さなくなったのか。


「イザベラ?」

「は、はい・・・」


イザベラは顔をあげずに返事だけを返した。


「その・・・どうして突然俺の事を意識しはじめたんだ?」

「うっ・・・そ、それは・・・」


固まって何も答えない妻。ゲオルグはイザベラの髪を指に絡めてくるくると遊び始めた。それに気付いたイザベラは、僅かに反応を見せたがじっとしている。


「早く・・・早くイザベラの全てが欲しいな・・・」


聞こえるか聞こえないかの小さな声で、ゲオルグはポツリと無意識にこぼしてしまった。イザベラの耳にはしっかりと届いたらしい。


「か、覚悟はしているのですよ!で、でも・・・あのような・・・」

「覚悟・・・?・・・ん?あのようなってなんだ?」

「へっ!?・・・な、なんでもありませんわ!」

「なんでもなくないな?なんだ?教えてくれ」

「・・・い、言えません!」

「ん・・・そうか・・・期待したんだがな、残念だ」

「期待・・・い、いずれはお応えします・・・もうちょっと待っててくださいませ」

「・・・イザベラ、何の話をしているのかわかってるんだよな?」

「・・・わかってますわ!閨の話でしょう?」

「・・・い、いずれは応えるって・・・イザベラ・・・俺と・・・う、嘘だろう!?・・・いったぁ!!」

「ゲオルグ様!?」


あまりの衝撃の発言に、ゲオルグは飛び起きらんばかりの勢いであったが、力を入れて身体を起こそうとすれば、腕に痛みが走った。


「す、すまん・・・俺、怪我してたんだったな」

「大事なお身体なのですから、ご自愛してくださいませ!」


目の前の妻は、恥ずかしかったのは何処へやら、今は頬を膨らませ、じっとこちらを見つめていた。その姿さえも愛おしく感じる。イザベラがゲオルグを男として意識している。その事実に、ゲオルグの心は跳ね上がり、どうしようもない想いが溢れ、遠慮をすることさえなくなっていく。気付けば再度腕に愛しい妻をとらえ、逃すまいと胸に抱き止めていた。






ーーーーーーーーーーーーーー

次回

別に師匠と夫人がイチャついていようが、何にも羨ましいなんて事ありませんよ







しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。

さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。 許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。 幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。 (ああ、もう、) やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。 (ずるいよ……) リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。 こんな私なんかのことを。 友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。 彼らが最後に選ぶ答えとは——? ⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。 ⚠️不倫等を推奨する作品ではないです。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く

ひとみん
恋愛
王命で王太子アルヴィンとの結婚が決まってしまった美しいフィオナ。 逃走すら許さない周囲の鉄壁の護りに諦めた彼女は、偶然王太子の会話を聞いてしまう。 「跡継ぎができれば離縁してもかまわないだろう」「互いの不貞でも理由にすればいい」 誰がこんな奴とやってけるかっ!と怒り炸裂のフィオナ。子供が出来たら即離婚を胸に王太子に言い放った。 「必要最低限の夫婦生活で済ませたいと思います」 だが一目見てフィオナに惚れてしまったアルヴィン。 妻が初恋で絶対に別れたくない夫と、こんなクズ夫とすぐに別れたい妻とのすれ違いラブストーリー。 ご都合主義満載です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

結婚式に代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
美希は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、結婚式の友人の代理出席をする予定で式場にいたのに!? 本編は完結してますが、色々描き足りなかったので、第2章も書いています。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

残念ながら、定員オーバーです!お望みなら、次期王妃の座を明け渡しますので、お好きにしてください

mios
恋愛
ここのところ、婚約者の第一王子に付き纏われている。 「ベアトリス、頼む!このとーりだ!」 大袈裟に頭を下げて、どうにか我儘を通そうとなさいますが、何度も言いますが、無理です! 男爵令嬢を側妃にすることはできません。愛妾もすでに埋まってますのよ。 どこに、捻じ込めると言うのですか! ※番外編少し長くなりそうなので、また別作品としてあげることにしました。読んでいただきありがとうございました。

処理中です...