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休暇七日目①目の前で見たもの

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「おはようございます」

「おはようございます、エルサ様、副騎士団長様」

「アバンス団長殿、夫人、おはようございます」


翌朝、ウィルフレッドとレティシアに誘われ、朝食の席に、エルサとソルディオが現れた。レティシアの隣にはもちろんウィルフレッドがいるが、向かいにはエルサが席に着いた。と言うことは、レティシアの逆隣にはソルディオがいるわけで。


「えっ!?ちょ、ちょっと!?」


レティシアが席に着くと、椅子が引きずられるように動き、よろけてしまった。


「ウィル、急にびっくりするじゃない!」

「シアは俺の近くにいないとダメだ」

「もう・・・」

「本当なら膝の上に座って欲しいんだぞ?」


頬を膨らませてウィルフレッドが言う。これでも28歳の大人。レティシアは呆れながらため息をつくも、仕方ないわねと苦笑いしながらう許してしまうのである。


「お二人は本当に仲がよろしいのですわね」

「ふふっ、羨ましいです?」

「う、羨ましくは!・・・ないですわ」


言い淀んだエルサがほんのり赤くなる。そんなエルサを慈しむように優しい笑みでソルディオは眺めていた。そこへ給仕の使用人達が料理を運んできた。


「まぁ、おいしそうだわ!」

「領内でとれる新鮮な野菜を使ってますわ。気に入っていただけると嬉しいです」


色とりどりの料理を眺めていたレティシアの横で、ウィルフレッドは、手にフォークを持って今か今かと待っていた。


「騎士団長様、もうフォークを手にされて、随分とお腹が空いていらっしゃったのですね」


ウィルフレッドの様子を見ていたソルディオが、声をかける。


「ん?俺は後でいい」

「?」


エルサとソルディオは何を言っているのかという顔でウィルフレッドを見ている。そして、ウィルフレッドは、自身の皿の料理をフォークで刺すとレティシアの口に差し出す。


「き、騎士団長様!?」

「ま、まさか・・・」


エルサとソルディオは、まさかウィルフレッドがいわゆるあーんをしようとしていたなどと思うはずもなく、目を丸くしていた。


「あーん」

「おいしいか?」

「・・・んっ」


レティシアはモグモグさせながら頷く。


「これも美味しそうだぞ?」


ウィルフレッドはせっせとレティシアの口に料理を運んでいた。


「ウィルは食べないの?」

「食べたい」

「じゃあ、はい、あーん」

「あーん・・・」


一体何を見せられているのか。エルサは目を見開いて固まり、ソルディオはポカンと口を開けて見ていた。


「どうされましたの?副騎士団長様もあーんを待ってますの?」

「は、はぁ!?い、いや!」

「シア、シアが食べさせるのは俺だけだぞ?いくら強請られたってダメだ」


ウィルフレッドは我慢の限界とばかりにレティシアの身体を抱き上げ、自身の膝に乗せた。


「誰も私が食べさせるなんて言ってないでしょう?ねぇ、おろしてくれる?」

「嫌だ」

「もう・・・でも、折角ですし、お二人も食べさせ合いなさってみる?」


レティシアはいたずらっぽい笑みを浮かべ、エルサとソルディオを交互に見る。


「はい!?け、結構ですわ!」

「え、えっと・・・?」


顔を真っ赤にして全力拒否をするエルサ。対し、ソルディオは、して貰いたかったのか、少し残念そうに眉を下げ、エルサを見つめていた。




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