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【ゲオルグside】こんな展開聞いてない
しおりを挟む「・・・ん・・・」
ん・・・
あ・・・
また眠ってしまったんだな
イザベラ?
いないのか・・・
コンコンコン
「失礼します」
「なんだ、ジルか・・・」
「そんな不満そうなお顔を」
当たり前だろう
愛しい妻だと思えば歳をとった執事だったんだから
俺が心底不満そうな顔をしていたのがおかしかったのか、くつくつと喉を鳴らして笑っている
「これは失礼しました。いやぁ・・・旦那様も奥様も可愛らしい方だなぁと思いまして」
イザベラが可愛いのは分かりきった事じゃないか
だが、俺が可愛いってなんだ・・・
「イザベラが可愛いのは認めるが、オジサンの俺に可愛いはないだろう・・・」
「いえいえ、お二人とも実にお可愛らしい。先程の奥様のお姿を旦那様にもお見せしたかったですな。誠に残念です」
イザベラの可愛い姿?
一体お前は何を見たんだ
くそっ
「奥様ときたら、旦那様の部屋から出てきた途端、頬を両手で覆われたかと思えば、真っ赤な顔をなさって、ゲオルグ様が、私の事を好きと・・・と思い出されながら身をふるふるさせておいででしたよ?こうやって」
くねくね動くな
気持ち悪い
だが、イザベラがそんな様子だったなど・・・
可愛いがすぎるな・・・
しかし、目の前でそれを真似て見せるこいつをどうしたものか
「おほんっ、失礼しました」
ったく・・・
イザベラはそんなくねくねしない
きっと顔を赤らめてはずかしがっていただけだ
誇張するな
「そうか・・・ところでイザベラは?」
「それがですね・・・」
「何かあったのか?」
「お部屋に篭られてしまって、何度お声がけしても返事がなくて」
部屋に篭っただと?
一体何があったんだ
「何があったんだ・・・?体調が悪いとかではないよな?」
「それもわからず。目撃したメイドによりますと、泣きそうな真っ赤な顔をして部屋に慌てて駆け込んだと」
「何?泣きそうだった?誰かが何かをしたというのか!?」
イザベラ、何があったんだ!?
イザベラに何かした奴がいるのか?
もしかすると騎士の誰かが手をだした?
ゆ、許さんぞ・・・
こうしちゃおれん
イザベラ!イザベラ!!
「・・・うぐっ・・・」
「旦那様!ご無理はいけません」
「だが、イザベラが!」
「お手を貸しますので、ゆっくりお願いします」
「あ、あぁ・・・すまん」
足はどうもしていないからな
起き上がってしまば大丈夫だな
イザベラ、待っててくれ
今、行く
く、くそっ
肩が痛む
無駄に冷や汗をかいてしまうな
ドンドンドン!!
イザベラ、大丈夫なのか?
返事をしてくれ
顔を見せてくれ!
イザベラ!!
「旦那様、そんなに大きな音を立てては奥様が驚かれますよ!」
「あ・・・す、すまん」
焦りすぎて勢いがつきすぎたな
怖がらせてしまっただろうか・・・
ガチャリ・・・
イザベラ?
ちっ、ジル、場所をかわれ!
イザベラが見えないじゃないか!!
「ジルさん・・・?」
俺もいる!
俺もいるんだ!
「奥様、騒がしくてすみません」
「い、いえ・・・何かあったのですか?」
「用があるのは私ではなくてですね・・・」
早くそこを退け!
「イザベラ?」
「!?・・・ゲオルグ様?」
イザベラの顔が見たい
まだ、泣いてるのか?
ドアをそっと引くと、イザベラが見えた
泣いては・・・いないな
「え、あ・・・起き上がって大丈夫なのですか!?」
心配してくれるんだな
だが、今は俺じゃない
お前の事だろう?
「何かあったのか?誰かに何か言われたのか?」
「え?」
「泣きそうな顔をして部屋に駆け込んだと聞いたんだ・・・」
「・・・あ・・・え、いえ・・・あの・・・」
泣いたのが知れて恥ずかしかったのか?
どこか体調が悪いのではないよな?
「どこか体調が悪いのか?」
「い、いえ、何ともありません!元気です!」
「そ、そうか・・・はぁ・・・よかった・・・」
よかった
とりあえずは無事なんだな
それを知って気が抜けた
情けないな・・・床に座り込んでしまったぞ
「ゲオルグ様!大丈夫ですか!?お身体が痛むのですか?」
イ、イザベラが近い!
・・・くっ
いい匂いがする・・・
確かに痛い・・・
痛いが・・・
「身体も痛いが・・・心も痛いな」
「何かあったのですか?」
「起きたらイザベラがいなかった」
「へっ?」
「目覚めて一番に視界に入ったのがジルなんだぞ?」
「そうですよ、奥様、おかげでとても不満だという顔をされましてね」
「そ、そうなのですね・・・」
「本当に何もないんだな?」
「は、はい」
「そうか・・・それならいい。じゃあ、俺は部屋に戻る」
おわっ・・・
気が抜けたからか、身体に力が入らん
倒れるかと思ったぞ・・・
「ゲオルグ様!」
「す、すまん・・・」
な、何だ!?
どこへ連れていく気だ?
俺の部屋は逆方向だぞ?
なぜか知らんがイザベラの部屋に押し込まれてしまった・・・
「ここに寝ろと言うのか!?」
「はい、早く安静にしてくださいまし!」
「・・・わかったよ」
イザベラの私室に入っただけでもどうにかなりそうなのに・・・
イザベラが普段使っている寝台に俺が寝るのか・・・
ぅ・・・
否応なしにも想像してしまうな
しかし・・・
イザベラ、何故微妙に距離を保っているんだ・・・
もっとこっちにこい
触れたい
「手を握っていてくれないか?」
「手ですか?」
「あぁ」
えっ・・・?
イザベラに・・・拒否・・・された?
「あぁ・・・無理はしなくていい」
残念だが、嫌なことを強要するつもりはないからな
側にいてくれるだけでいい
それだけで・・・
ぬぅぉっ!?
イザベラが自ら・・・手を握ってくれた
「は、恥ずかしかっただけですから」
真っ赤になって・・・
そっぽむいて・・・
可愛いなぁ・・・
俺の妻は可愛いすぎる・・・
・・・ん・・・
また眠っていたんだな
最近はイザベラがいるだけで安心する
今も・・・まだ手を握ってくれているじゃないか!
しかも寝台に上半身を乗せて眠って・・・
可愛い・・・
可愛いすぎる・・・
もっと近くで見たい・・・
いや、一緒に寝たい・・・
イザベラを寝台へと引き上げてしまったな
後で怒られるかもなぁ・・・
起こさずに済んでよかったな
寝ている間に許可なしに抱きしめるなんて事はしない
だが、寝顔を見つめるぐらいは許してくれ
可愛い
はぁ・・・イザベラが俺の妻・・・
嬉しい・・・
「・・・ぅん・・・」
起きたか?
寝ぼけているイザベラも可愛いな
「あれ・・・?」
「起きたか」
「ゲオルグ様・・・が・・・目の前に・・・へっ!?な、な・・・・なんで!?」
「お、おい、そんなに下がったら落ちるだろうが」
あぁ、言い訳がましいな
落ちそうになったのは確かだが
言いがかりをつけてただ抱きしめたかっただけなんだよな・・・
「ひゃうっ・・・」
勢い余ってしっかりと抱き込んでしまったな・・・
しかし・・・
柔らかい!
む、胸が!
しかもいい匂いする・・・
クラクラしちまうな
「あ、あの・・・」
「なんだ?」
「どうして一緒に・・・寝ているのでしょうか・・・」
「あぁ・・・俺が引き上げてしまったんだ。一緒に寝たくて」
「そ、そうなのですか・・・」
「そう、こうやって一緒に寝たかった」
「は、はい・・・」
「はぁ・・・ダメだな・・・理性を失いそう・・・」
「ひゃ・・・い」
「?・・・イザベラ!?」
少しばかり強く抱きしめすぎただろうか?
いや、そんなに力を込めたつもりはなかったが・・・
これは・・・
刺激が強すぎて気を失ったってやつか?
どれだけ男に免疫がないんだ・・・
ふっ、ヴィンセント殿下に感謝だな
イザベラに靡いてくれなかったおかげで、俺の妻はいまだに純情らしい
あぁ・・・
俺が汚してしまっていいのだろうか?
こんなに可愛らしい存在を
愛おしい存在を・・・
俺の欲で穢してしまっていいのだろうか・・・
だが・・・そうしたい自分もいる
もう何もかも考えられなくなって
俺の事だけ見ていて欲しいな
欲張りすぎか?
まぁ、いい、今は目の前の妻を堪能しよう
そして、朝、イザベラが俺の胸に身を乗り上げて、縋るようにすやすや眠っているのに気付き、俺の方が悶絶した
だって、これって、自分でそうしたって事だろう?
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
は、恥ずかしいのです!
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