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休暇四日目⑧シスター・レイラ
しおりを挟むレティシアは、シスター・レイラがレイバンの事を想い続けている様子に気付いた。もしかするとここに戻ってくるかもしれないと、待ち続けているのかもしれないと。
「レイラさん・・・レイバン様に会いたい?」
「っ!・・・会いたいです・・・でも・・・」
「でも?」
「会ってどうすれば良いのでしょうか・・・あの時、私は何も・・・何もしてあげれなかったのです・・・もっと寄り添う事ができたなら、何か変わっていたでしょうか・・・レイバン様は、諦めずにこの地に残って頂けたのでしょうか・・・」
「レイラさん、レイバン様を信じたのでしょう?領民がみんな領主夫妻とレイバン様を悪く言うのに対し、あなたは信じてあげていたのでしょう?」
「も、もちろんです!何も悪くない、領主様ご夫妻も、レイバン様も、悪い事なんて何もしていなかったのに・・・何故こんな・・・」
「だったら、これからも信じてあげて」
「これ・・・から?」
「えぇ、レイバン様は、これまで一人で戦ってきた。自分の両親が隣国と繋がっていたなんて言われて、無実を叫んでも誰も信じてはくれなかった。でも、あなたは信じていたのよね?だからこれからも、信じ続けてあげて。そして、彼が誰かを必要とする時、あなたが味方になってあげて」
「私が・・・はい、私なんかでよければ」
レティシアは、にこりと微笑むと、ウィルフレッドに視線を向ける。
「神父殿、俺達はこれから北の辺境伯のところへ行く。その後王都に戻って、レイバンの処遇を決める。もしもだ・・・もしも、レイバンが望めば、また家族として、受け入れてくれるか?」
「それはもちろんです、願ってもない事です」
「それを聞いて安心した。レイバンは一人じゃない。俺達夫婦と・・・家族もいる。一人じゃない」
神父、そしてレイラも、堪えていた涙が溢れてきた。レイバンが生きている。それだけでも僥倖であったのに、本人が望めば、また会えるかもしれない。叶うかどうかわからないが、一抹の望みが、これからの時に光を与えたようだった。二人は、神父とレイラにまたいつしか会おうと言い、別れを告げ教会を後にした。
「シア、暗くなる前に宿を取ろう」
「そうね」
「もう少し行けば辺境の近くの街に出るはずだ」
ウィルフレッドは、ブルーノに跨りながらも、レティシアをうしろからしっかりと抱きしめ、肩口に頬をすり寄せていた。
「随分と甘えるのね?」
「ダメか?」
「ダメじゃないけど、どうかしたの?」
「・・・俺だって一途だ・・・」
「まだ気にしてたの?レイラさん・・・ゲオルグ様よりも長い片想いだったわね。でもね、ウィル、時間が長ければいいわけじゃないわ。私にはウィルだけよ?」
「・・・シア、愛してる」
ウィルフレッドは再度腕に力を込めると、レティシアの首に擦り寄ってこれでもかと甘えていた。
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次回
なんだ?揶揄ったのか?
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