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休暇四日目④愛する事と愛される事

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一緒に湯あみするという行為も、怪我でまともに身体を動かせないゲオルグ相手では、介護になってしまうのではないかと言ったウィルフレッド。二人の距離がもっと近くなるような事を期待したが、そう言われてしまっては何か違うような気がしてきたゲオルグだった。


「それはそうと、師匠、俺たちはそろそろお暇しようと思ってます」

「ん?もう王都に戻るのか?」

「王都には戻りませんが、時間は限られていますのでね」

「そうだったな、10日の休暇を貰ったんだったな。王都に戻らないなら、どこか目的地があるってことか?」

「えぇ、北の辺境へと行く予定です」

「北か・・・クレイドルに、世話になったと伝えてくれるか?」

「えぇ、わかりました。怪我した師匠をここへ運んで頂いたんでしたね」

「あぁ、情けない姿を見せてしまったからな」

「他にお伝えする事はありますか?」

「そのうち可愛い嫁を連れて自慢しに行くとでも言っといてくれ」

「・・・はいはい・・・」

「ふふっ、では、ゲオルグ様、お身体ご自愛くださいませね?」

「あぁ、ありがとう」

「では、師匠、昼前にはここを発ちますので、これで挨拶とさせて頂きます」

「あぁ、気をつけて行くんだぞ?」


和やかな別れの挨拶の間も、イザベラはゲオルグに抱きしめられたまま、胸に顔を埋めていた。そんな様子をレティシアは、もう心配はいらないとばかりに微笑んで頷いていた。


パタン


「あ、あの・・・」

「なんだ?」

「いつまでこのように・・・」

「ん?いつまでだっていい。ずっとこうしていたいぐらいだ」

「そ、そうですか・・・」


イザベラを抱く左手にぐっと力を入れさらに抱き寄せた。ゲオルグは、イザベラの頭に頬擦りしながらこの上ない幸せを感じていた。






「ゲオルグ様もイザベラ様も距離が近くなったみたいでよかったわ」

「そうだな。しかし、師匠に自慢されるような日が来ようとは、思いもしなかった」

「ふふっ、そうね。15年・・・すごいわよね・・・イザベラ様は一途に愛される喜びを知ったのね」

「ん?シアだって一途に愛されているぞ?」

「そうかしら?」

「なっ!?俺の愛を疑うのか?俺はシアしかいないのに!俺だってシアを好きになって一年我慢したし、耐えたんだぞ?俺だって、シアだけ・・・今まで恋したのもシアだけなんだからな?」


いつも自信に満ち溢れていて、皆の憧れでもある騎士団長は、妻のたった一言ですぐ不安になってしまうのだ。


「私だってウィルだけよ?」

「・・・シア・・・愛してる・・・好きだ、大好きだ!」


ウィルフレッドは、レティシアの身体を横抱きにすると、その場でぐるぐると回る。


「ちょっと!ウィル!?」

「好きだー!」

「や、やめてってば!」


たった一言で不安にもなるが、たった一言で元気にもなれる。これが運命でなければなんなのか。互いに、たった一人だけを愛し愛される事がどれだけ嬉しい事なのかと、巡り会えた奇跡にと、数多の男の中から自身を選んでくれた事に、ウィルフレッドは喜びを噛み締めていた。




ーーーーーーーーーーーーー

次回

ここにはあなた達だけしかいないの?





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