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休暇二日目⑦辺境の騎士達との鍛錬
しおりを挟む用意された客間に通されたウィルフレッドとレティシアだったが、すぐに部屋を出て外出する。
「どこに向かってるんだ?」
「え?格好いい騎士団長様が見れるところ」
「お、おい!辺境の騎士団長が格好いいからと見に行くと言うのか!?な、なぁ、部屋に戻ろう?辺境の騎士は確かに凄いかもしれんが・・・もっと、頑張るから!もっと強くなれるように頑張るから!だから俺だけを見ててくれよ!頼むから、他には興味を持たな」
「何言っているの?」
「え?」
「ウィルが稽古するところを見たいから、騎士様達と一緒にどうかと思ったのよ。西の辺境は当主と兼任だと聞いているから、騎士団長はゲオルグ様でしょう?」
「あ・・・」
ウィルフレッドは気まずそうにそっぽを向いた。
「随分とご執心なようですね?」
後ろから声をかけてきた者がいた。
「初めまして、カルスヴァ辺境騎士団で副騎士団長をしています、エリオット・サーヴェスと申します」
振り向くと、白髭の人の良さそうなおじさんがニコニコして立っていた。
「騎士団長はご当主様、副騎士団長は名ばかりのこの老いぼれが努めておりますが、それでも不安に思われますか?」
「へっ?あ、い、いや・・・その・・・」
「副騎士団長様、初めまして、近衛の騎士団長を務めております、ウィルフレッド・アバンスの妻、レティシアですわ」
「お美しい方だ。アバンス団長殿が羨ましいですな」
「本当に大変、失礼しました。お見苦しいところを・・・」
「はははっ、若いというのはいいですな。そうだ、アバンス団長殿、騎士達があなたが来るのを楽しみにしているようなのですよ」
「そ、そうなのですか?」
「はい、白馬で現れたあなたを見て、まるで王子様のようだったとか、隠していても気品があったとか、騎士達が噂していましてね」
「・・・なんだか居た堪れないな・・・」
「よろしければ稽古を一緒にどうです?お連れ様もそれが見たかったのでしょう?」
「えぇ!ウィル、行きましょう!」
「えぇ・・・でも・・・男がいっぱいいるんだろう?そんなところにシアを連れてくなんて・・・」
「私はサーヴェス副騎士団長と一緒に見学しますわ。それなら騎士様達も不埒な真似はできませんもの。安心でしょう?」
「守るのは俺の役目であって欲しいんだが・・・」
そう言うウィルフレッドに対し、レティシアは口を尖らせる。最近、レティシアはこんな表情もよく見せるようになった。いわゆる拗ねて見せるという奴だ。
「滅多に見れないから楽しみにしてたのに・・・」
「わ、わかった!シアに格好いいところを見せれるように頑張る!だから拗ねないでくれ・・・」
「えぇ、期待してるわ」
レティシアは、不安になって背を低くして顔を覗き込んできたウィルフレッドの頬にちゅっとキスをした。
「ふぇっ!?」
「後でもっとしてあげるわ」
エリオットが隣で大笑いする中、ウィルフレッドがその後の稽古で気合が入ったのは言うまでもない。
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次回
いい男はかく汗さえもいい匂いがするのか?
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